« 三軒茶屋の夢の跡 | トップページ | 「トワイライト ささらさや」:何かとご都合主義で »

2014年11月 8日 (土)

「馬々と人間たち」:馬のいる奇譚集

347088_001

映画『馬々と人間たち』はアイスランドからやって来た型破りな作品。確かにこんな映画観たことありません。でも面白いです。馬の映像が素晴らしいです。心奪われます。

347088_009

エピソードの一つ一つが人を食ったようにすっとぼけていながら仰天もので、それがアイスランドの自然と相まって醸し出す土俗的な味わいが何とも深いのです。そして説明を削ぎ落としながら、観客の想像力を信じて展開していく演出に、堂々たる力があります。

347088_003
(以降ネタバレあり) 最初のエピソードで、ワイルドな黒馬に交尾されちゃった白い愛馬を、飼い主の男はなぜ撃ち殺しちゃったのかがちょっと謎。マイ・プリンセスが「汚れ」ちまったことが許せなかったのでしょうか?

主人を乗せたまま海に入って、沖にぐんぐん泳いでいく馬のエピソードとその「絵」も圧巻。それにしてもあの「ウォッカじゃない」強い酒?は一体何だったのでしょうか? いくら言いつけどおりに水で薄めなかったとは言え、数口飲んで人が死んじゃうような液体って・・・。

347088_002

そして凍死から身を守るために馬を殺して腹かっさばいて内臓を取り出して、その空間に体をうずめて助かるっていう壮絶なエピソード。これって『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』にも同様の場面がありましたよね。氷の惑星でハン・ソロが、トーントーンの腹をライトセーバーでかっさばいて、そこにルークを押しこんで凍死を防ぐという・・・。

でもまあ映画の最後には「本作に出てくる動物は全く傷つけられていません」という字幕が出るので、ホッといたします。 馬さんたちの瞳、きれいで良かったですもんねえ。

この充実度で81分というコンパクトさも素晴らしいです。

|

« 三軒茶屋の夢の跡 | トップページ | 「トワイライト ささらさや」:何かとご都合主義で »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「馬々と人間たち」:馬のいる奇譚集:

» 『馬々と人間たち』(試写会) [・*・ etoile ・*・]
'14.10.18 『馬々と人間たち』(試写会)@京橋テアトル試写室 cocoで当選! いつもありがとうございます! 全くノーチェックだったのだけど、このタイトルとチラシのビックリ映像に惹かれて応募。見事当選! よろこんで行ってきたー あ、ちなみに「うまうまとにんげんたち」と読むそうです!( ・Θ・)ゞピヨッ ネタバレありです! 「アイスランドの田舎、独身中年男性コルベインは、愛馬グラウーナにまたがり、未亡人ソルヴェーイグの家へ向かう。その様子を双眼鏡で覗き見る村人たち。ソルヴェーイグの幼い... [続きを読む]

受信: 2014年11月 9日 (日) 00時45分

» 馬々と人間たち [象のロケット]
北欧の島国アイスランド。 恋人未満の関係である子持ちの未亡人宅を訪れた中年男。 ところが二人の所有する馬同士が、主人たちの恋を出し抜いてしまう…。 ウォッカを求めて、愛馬でロシア船を追いかける酒好きの老人…。 有刺鉄線の柵をめぐる、隣人同士の攻防戦…。 乗馬観光に訪れた観光客が、思わぬ危機に遭遇…。 数々の事件の顛末とは…。 コメディ。... [続きを読む]

受信: 2014年11月12日 (水) 02時43分

» 【トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2014】『馬々と人間たち』 (2013) / アイスランド・ドイツ [Nice One!! @goo]
原題: Hross i oss / Of Horses and Men 監督: ベネディクト・エルリングソン 出演: イングヴァル・E・シグルズソン 、シャーロッテ・ボーヴィング 、ステイン・アルマン・マグノソン 、ヘルギ・ビョルンソン 観賞劇場: ユーロスペース 「トーキョー ノー...... [続きを読む]

受信: 2014年11月17日 (月) 08時53分

« 三軒茶屋の夢の跡 | トップページ | 「トワイライト ささらさや」:何かとご都合主義で »