« 新宿ミラノ座ラスト・ショウ迫る | トップページ | J1&J2終盤の悲喜こもごもと奇跡 »

2014年11月29日 (土)

「紙の月」:本物の演出・本物の演技

349551_006

映画『紙の月』は、吉田大八監督に今、脂が乗っていることを示す高密度の作品。1カット1カットに込められたこの「力」は何なのでしょう。 確かに『桐島、部活やめるってよ』は、対抗馬がいなさ過ぎた年だったので『キネ旬』ベスト1に輝いた作品ではありましたが、それでも独自の個性と才能に彩られた良作ではありました。本作では、「堂々たる映画的演出力」においては、(変化球の)『桐島』を楽々越えています。

349551_004

やはりこういう映画を観てしまうと、クォリティーや志において物足りない「映画未満」の作品がいかに多いかってことに改めて気づかされます。 本作では、主人公の宮沢りえを見事に捉えた映像の冷えた質感や、(原作は未読ですが)過不足なく2時間ちょいの物語としてテンポ良く巧妙に紡いでいった脚本(早船歌江子)には、プロの仕事して非常に感心しました。

349551_005

銀行で働く二人の重要人物(小林聡美、大島優子)が映画オリジナルの人物と知って、びっくりしました。特に小林聡美の役は、彼女のおかげでこの作品が成立していると言っても過言ではない役であり、小林の演技も(いつも通り)見事でした。 もちろん宮沢りえも最高に見事な主演ぶりです。クールなポーカーフェイスの中に、様々な思いや心の揺らぎを詰め込んで、本作の中を駆け抜けます。今日びの41歳にしては老け過ぎ、やつれ過ぎに見えるのですが、役の上では目の下のクマや頬のあたりのげっそりした感じが効いているのです。

349551_003

(以降ややネタバレあり) 人間の不可思議をただ不可思議として提示した体温の低い作品。 ただ、ラストのあのエピソードだけは、蛇足でしたねえ。その前の「白へのフェィドアウト」で終わっていればよかったのに・・・。

|

« 新宿ミラノ座ラスト・ショウ迫る | トップページ | J1&J2終盤の悲喜こもごもと奇跡 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42098/58129811

この記事へのトラックバック一覧です: 「紙の月」:本物の演出・本物の演技:

» 『紙の月』 (2014) [相木悟の映画評]
ダークな人生論をえぐる妖しき犯罪劇! 人間の内面の濃厚な飢えを多面的に活写した一級ドラマであった。 本作は、『桐島、部活やるってよ』(12)で映画ファンの熱い支持をうけた吉田大八監督作。今回手掛けるのは、角田光代のベストセラー小説の映画化だ。角田原作...... [続きを読む]

受信: 2014年11月30日 (日) 00時28分

» 映画『紙の月』★ラストに回収されるお金の“意味“や“価値“ [**☆(yutake☆イヴのモノローグ)☆**]
作品について http://cinema.pia.co.jp/title/164641/ ↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。 人妻銀行員の横領事件―― 始めは、夫の生活のすき間を 若いツバメとお金に溺れた、中年女(梨花)のどうしようもなさを、見るのかと思っていました。 けれど、冒頭から 梨花が..... [続きを読む]

受信: 2014年11月30日 (日) 01時56分

» 紙の月〜自転車で鍛えた脚力 [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。角田光代原作、吉田大八監督。宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美、中原ひとみ、平祐奈。元ネタになったと思われる女性銀行員に ... [続きを読む]

受信: 2014年11月30日 (日) 08時07分

» 『 紙の月 』受けるよりは与える方が幸いである [映画@見取り八段]
紙の月     監督: 吉田大八    キャスト: 宮沢りえ、池松壮亮、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美、大島優子、平祐奈、伊勢志摩、佐々木勝彦、天光眞弓、中原ひとみ 公開: 2014年11月15日 2014年11月26日。劇場観賞 疾走する主人公と、包み込むように…... [続きを読む]

受信: 2014年11月30日 (日) 14時03分

» 紙の月 [★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★]
2014/11/15公開 日本 PG12 126分監督:吉田大八出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、小林聡美、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司 最も美しい横領犯。 TOHOシネマズのフリーパスポートのラストはこの作品。予告編を見て興味があったので久しぶりに母親と一緒に観てきまし...... [続きを読む]

受信: 2014年11月30日 (日) 23時04分

» 紙の月 [象のロケット]
1994年。 夫と二人暮らしの梅澤梨花は「わかば銀行」の契約社員で、職場では高い評価を受けていた。 ふとしたことから、梨花は裕福な顧客・平林の孫で、大学生の光太と逢瀬を重ねるようになる。 買い物途中、預かり金から1万円借りてしまったことをきっかけに、彼女は銀行の金を横領し始めた。 その額は、日増しにエスカレートしてゆくが…。 サスペンス。... [続きを読む]

受信: 2014年12月 2日 (火) 23時47分

» 紙の月 [映画的・絵画的・音楽的]
 『紙の月』を渋谷シネパレスで見てきました。 (1)東京国際映画祭での話題作(注1)ということもあり、映画館に行ってきました。  本作(注2)の冒頭は、賛美歌が聞こえるカトリック系の中学校の教室に独り机に向かって座っている女生徒の姿。机の上には1万円札が5枚...... [続きを読む]

受信: 2014年12月 3日 (水) 21時35分

» 映画「紙の月」 [FREE TIME]
映画「紙の月」を鑑賞しました。 [続きを読む]

受信: 2014年12月 3日 (水) 23時17分

» 映画「紙の月」ここではない何処かへ、ダイブする [soramove]
映画「紙の月」★★★★★ 宮沢りえ,池松壮亮、大島優子、田辺誠一、 近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美出演 吉田大八 監督、 126分 2014年11月15日公開 2014,日本,松竹 (原題/原作:紙の月) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 「バブル崩壊直後の1994年。 わかば銀行の契約社員として働く、 平凡な主婦・梅澤梨花。 上... [続きを読む]

受信: 2014年12月 8日 (月) 16時58分

» [映画][☆☆☆☆★]「紙の月」感想 [流浪の狂人ブログ〜旅路より〜]
 角田光代原作のサスペンス小説を、「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督、「オリヲン座からの招待状」の宮沢りえ主演で映画化。 いきなりで何だが、小生は宮沢りえが嫌いだ。単純に見た目が好きじゃないというのもあるが、昔から「私って可愛いでしょ?恋してくれち... [続きを読む]

受信: 2014年12月 9日 (火) 19時30分

» 第27回東京国際映画祭「紙の月」 [ここなつ映画レビュー]
コンペティション作品。観客の投票によって決定する観客賞を受賞。主演の宮沢りえは最優秀女優賞を受賞。舞台挨拶の宮沢りえは綺麗だった! コンペ作品の中では、最も商業ベースに乗った作品だと思う。かといって、招待作品のようなお祭り騒ぎな気分ではない。何といっても、監督は「桐島、部活やめるってよ」「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八なので、映画祭の“出品作品”として適切なのだと思う(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」はカンヌの批評家週間に招待されているし、「桐島、部活やめるってよ」は日本アカデミー賞監... [続きを読む]

受信: 2014年12月19日 (金) 12時32分

» 『紙の月』吉田大八監督、宮沢りえ主演。"はじめから全部ニセモノ" [映画雑記・COLOR of CINEMA]
注・内容、台詞に触れています。『紙の月』監督 : 吉田大八出演 : 宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、小林聡美、近藤芳正、中原ひとみ石橋蓮司 ※Memo1●監督が語っていたとおり読後感からくる疾... [続きを読む]

受信: 2014年12月20日 (土) 04時56分

« 新宿ミラノ座ラスト・ショウ迫る | トップページ | J1&J2終盤の悲喜こもごもと奇跡 »