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2014年12月15日 (月)

「インターステラー」:ミラノ座最後のロードショー

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映画『インターステラー』を観ました。あの新宿ミラノ座の大スクリーンで観ました。ミラノ座で観る新作ロードショーは、これが最後となるでしょう(この後に過去の上映作のアンコール上映が大晦日までありますが)。感無量ですね。

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本作は、堂々たる風格を持った169分のSF巨編。科学性や哲学性を盛り込んだハードSFでありながら、多くの人の情感に訴えかける親子の愛情の物語として、どちらも成功させています。

ただ、宇宙ものとしては、あのコンパクトな傑作『ゼロ・グラビティ』の直後なだけに、損してますね。正直宇宙の描写や宇宙でのアクションにおいては、負けちゃってます。

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ただ宇宙パートをサンドイッチするように序盤と終盤に存在する「親子パート」がむしろ一番やりたかった部分ではないかと思うほどで、ググッと感動させてくれます。「時間(年月)」という概念を上手に泣かせ道具として使っているのです。いや、それは別にあざといとかじゃなくて、あくまでも上質ですし、時間を哲学しつつエンタテインメントに転じさせてこそSFなのだと思います。

マシュー・マコノヒーの娘役が目バッチリのアヒル口で、「ああ、この子が大きくなってアン・ハサウェイになるんだろうね」と思っていたら、いえいえ、娘の横にハサウェイが出て来て驚きました。その後、娘は長じてジェシカ・チャスティンになるのでありました。 驚いたといえば、中盤突然マット・デイモンが出てきたのにも不意を突かれましたね。いやー、宇宙では何が起こるかわかりません。

349221_004でも宇宙のブラックホールやらワームホールやらをスペースシップで抜けて行く描写は、ちょっとどうなんでしょう? 暗い穴を猛スピードで通り抜けて行くと、船体がミシミシ言って、砂利が当たるような音までして・・・って、ほとんど花やしきのスリラーカーみたいなんですけど。 改めて半世紀近く前の『2001年宇宙の旅』が打ち出したビジュアルの偉大さ(CGなんてない時代だったのに!)を思い知りました。

まあ本作は「5次元」の映像化にまで挑戦していたりして、その意気や良しではありますが・・・。

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あのロボットくんの造形はユニークでしたね。オフィスのロッカーみたいとでも言えましょうか。ああいう裏をかくような発想って、なかなかスゴイことです。しかも意外と動けたり、速かったりするんですから。

最後の方に出てきた『インセプション』を思わせる奇想の映像にもやられましたね。これぞクリストファー・ノーランってなビジョンでした。

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