「超能力研究部の3人」:山下敦弘のビーンボールにして傑作
映画『超能力研究部の3人』にはぶっとびました。予備知識としては乃木坂46の3人が主演ということと山下敦弘監督作品ってことだけで観たのですが、相当な衝撃を受けました。
(以降ネタバレあり) 普通の学園アイドル映画だと思っていたら、撮影のメイキング映像がたっぷり入る、というかメイキング映像の間に劇映画部分を少し挟み込んで、物語を進行させていくという手法。原作や物語部分を軽視した扱いという意味において、『Wの悲劇』を連想しました。
ところがところが、次第に「あれ? ちょっと変??」という違和感や疑問が頭をもたげて来て、もしやと思っていると・・・はい、このメタ映画の作りすらも、なんとフェイク・ドキュメンタリーだったのですね。でも、山下監督がそういうフェイク・ドキュメンタリーを過去にも撮っている事を知らなかった小生としては、結局エンドタイトルでスタッフらの役を役者がやっていることがわかるまでは100%確信を持てませんでした。うーん、見事なだましっぷりです。山下監督自身がバンバン出演しているので、ドキュメンタリーとしての自然さが確保されているのです。
ただ、100%フェイクかというとそうでもないはずで、きっと「素」のドキュメンタリー部分が混ざっているはずなのです。そこをまさに「虚実ない交ぜ」として作り上げた、類例のない傑作になりました。もう、面白過ぎてあっという間の119分でした。
観る者の心をシェイクするような名場面もいろいろ。おとなしい部員(秋元)がヤンキー娘とケンカする件りで、山下監督が秋元の芝居に満足せず、ヤンキーたちに悪口を言わせて怒りの感情を盛り上げるシーンの緊張度や「ここまでやるか感」には只ならぬものがありました(その結果、いい芝居が撮れた時のカタルシスも!)。 そしてキスシーンで本当にキスするか「キスのふり」なのかを巡る事務所側と映画スタッフ側の攻防シーンの凄まじさにもやられました。笑えるぐらい凄すぎます。
惜しいのは、「女の子映画」にしては彼女たちの輝きや魅力が期待ほど出まくっていないこと(特に乃木坂のファンではない小生が観た限りにおいては)。 それでも2014年最高の異色作にして問題作。意表を突かれました。山下敦弘のビーンボールにして、驚愕の力技です。
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コメント
マイブログに、リンク&引用、貼らせてもらいました
(トラバは残念なことに出来ませんでしたーーー)
不都合あればお知らせくださいませ
なにとぞ宜しく~~~~~!
投稿: ジョニーA | 2014年12月28日 (日) 00時38分
ジョニーAさん、どうも。 OKです。
トラバも出来ていましたけど・・・。
投稿: 大江戸時夫 | 2014年12月28日 (日) 11時35分