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2014年12月28日 (日)

「百円の恋」:安藤サクラのKO勝ち!

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映画『百円の恋』は作品の出来もさることながら、安藤サクラに完全にノックアウトされてしまいます。中盤までのぶくぶくぼてぼてなだらしない体、だらしない動き、だらしない人生の彼女が、後半ボクシングを始めてからの驚くべき変容。人間こうも変わるものかと思うほど・・・うーん、女優って、いや安藤さんってスゴ過ぎます!

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主人公のどん詰まり状況が、周囲のとんでもない(またはプチとんでもない)人々によって説得力を持って伝わる前半。発する言葉もボソボソと自信無げな主人公・一子(いちこ)。風体から何から、とにかくこの世のお荷物みたいな一子をダラダラと演じる安藤は、彼女の持ってる路線の一つをデフォルメしたような感じ。観ている者としては、あまり共感が湧かない主人公の造形です。1stカットの彼女の背中のデブり方は、衝撃的です(肉体改造アプローチ!)。

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で、そこから振り子は逆方向に振れて、精悍で俊敏な野生動物へと変貌します。ボクサーへの肉体改造です。それを見事にやっちゃったことが絵からガンガン伝わります。顔もボディもシュッと締まります。シャドー・ボクシングのスピードとキレ、フットワークの軽やかさ、けもののようなシャープな眼光。実際に安藤サクラが(吹き替えや特殊効果ではなく)ここまでやっている、どう見てもキチンとボクサーとして通用するレベルに達している、その事実に感動します。なぜか涙が出て来てしまいました。

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試合のシークェンスなどはもう涙、涙の大江戸でした。かなり胸に迫ります。通俗的ではあるけれど、決して甘口ではなく、キビシイ展開のほろ苦さ。 ボクシング・シーンの本物の迫力は、かなり頑張ってます。それにしても体を改造して迫力あるボクシング場面を自ら演じても、デ=ニーロや安藤サクラだと高く評価されて、スタローンや山下智久だとそんなに評価されないのはどうしてなんでしょうねえ? でもこの安藤さんを差し置いて主演女優賞を贈れる人なんていないです!というのが、小生の気持ちです。

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上映館テアトル新宿のロビーには、安藤サクラが使用したアディダスのボクシンググローブが展示してありました。

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