「繕い裁つ人」:中谷さんも作品も美しい佇まいだけど・・・
映画『繕い裁つ人』は、端正な美しい佇まいを持った作品。でも映画って、それだけじゃ駄目だってことも示してくれる作品。
家屋や仕事場がウッディーで、いい感じに古くて素敵なのです。仕事場に差し込む光のビームの美しさ! 神戸を中心としたロケも、同じトーンにコントロールされていて、映像の落ち着きと上質感はなかなかのものです。
主人公を演じる中谷美紀が、背筋のピンと伸びた凛とした女性で、見事に素敵です。彼女のおかげで、明らかに映画のランクが一段階アップしています。近来の彼女の代表作と言えるのではないでしょうか。ちょこっとだけ髪ボサ寝起き姿とか、チーズケーキ1ホール食べちゃうところとかのコミカル風味もまぶしてありまして・・・。(光線とか含めて)彼女をとてもキレイに撮ってあるあたりは、女性監督ならではなのかなあ。
ただ三浦貴大がらみがねえ・・・。なんなんでしょう、毎日何してるんでしょう、この人? 百貨店のバイヤー(?)が、ここまで暇だなんて、あり得ません。言動もヘンだし。原作のマンガではまだ成り立っていたのかも知れませんが、実写化しちゃうとかなり魅力レスなキャラになっちゃってます。
あと「夜会」の場面なんかも、参加者の中高年男女の顔が「ふさわしい」と思える人が少なくて・・・。やはりここは、「良い年の取り方をした」「ある種の品格と人間力が感じられる」顔を、もっと揃えて欲しかったです。欧米の映画だと、こういうところはしっかりとキャスティングしてくれますもん。多くの男性が中折れ帽をかぶったまま女性とダンスしてるのもへんだったし。
服作りの場面においては、もっともっとこだわりの道具や材料や縫製の様子だとか、服が作られたり直されたりしていくマジックを、じっくりと見せて欲しかったなあ。その行為、その魔法が主役となる作品なのですから。実際、中谷さんがミシンを踏んだり、手縫いしたりする職人的佇まいは魅力的でしたもん。 ラストの彼女も実に「いい顔」をしてました。
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