「80年代映画館物語」を読んで
『80年代映画館物語』斉藤守彦(洋泉社)を読みました。2,500円+税ってことで、ちょっと迷いましたが、なんせ扱われている題材が魅力的だったもので。
目次をさらっと見ただけでも、『地獄の黙示録』、テアトル東京、シネマスクエアとうきゅう、『ある日どこかで』、『E.T.』、角川三人娘、有楽座・日比谷映画劇場、『ストリート・オブ・ファイヤー』、ミニシアター、ツナギ番組、全米大ヒット!etc.・・・ねっ、すんごく魅力的ではありませんか?
今のように無個性でどこで観たかを忘れてしまうようなシネコンではなく、一戸建てや強い個性を持つ映画館が群雄割拠していた1980年代を、映画館、映画興行という切り口で描いた想い出草紙。当時の配給、興業関係者に多く取材してまとめあげた素敵な試みの1冊です。
巻末には1980-89年の都内主要映画館の番組表なる涙がちょちょぎれそうな貴重な記録が、96ページ(この本の約3割)にわたって掲載されております。
おまけに当時の新聞広告が所々に掲載されていて、これまた結構貴重な資料なのです。
著者は1961年生まれ。映画業界紙記者を経て、フリーの映画ジャーナリストということです。 小生もミラノ座閉館の時に強く思いましたが、この時代に消え行く映画館について語ること、記録することは、映画を語ることと同様に、いやそれ以上に大切なことなのだと思います。「先を越された」感がありますが、いい仕事、楽しい本でした。
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