「花とアリス殺人事件」:思いがけないプレゼント
映画『花とアリス殺人事件』は、岩井俊二監督自身が『花とアリス』('04)の前日譚をアニメーションで作った作品。しかも花、アリス、二人の声が前作で二人を演じた(当時は高校生だった)鈴木杏と蒼井優なのです。前作のファンとしては、期待もオーバーヒートしそうです。
『花とアリス』といえば、大江戸的には岩井俊二の最高傑作であるのみならず、『天然コケッコー』('07)と並んで'00年代の日本映画を代表する傑作だと思っています。その姉妹篇が今になってこんな形で実現しようとは・・・。びっくりです。 ただ二人の声がかなり低かったですよねー。とても中学生とは思えない感じ(まあお二人とも20代後半ですし、低い声質の方々ですから)。でも物語が進むにつれ、気にならなくなりましたけど。
『花とアリス』ファンにとって嬉しい場面もいくつか・・・。アリスがバレエを舞う場面! そして花屋敷の前で、二人がポーズをつけて挨拶する場面!! そしてキットカットも!(わかる人にはわかる)
絵がさっぱりしていて、でも時々現代美術のジュリアン・オピー(太めの線画で目が点みたいな人物を描く人)みたいな表情になったりもして・・・。 アニメーションになっても、やはり岩井俊二らしさってのはきちんと出るんですね。絵の動きとか、ギミックのかけ方とか、光線の調子とか(音楽の力も手伝って)、岩井ワールドの空気がちゃんと溢れておりました。 まあ前作程の傑作ではありませんし、軽いお楽しみって感じの小品ですが、ファンにとっては思いがけないプレゼントでした。
不思議だったのは、平泉成さんがアリスの父親と、物語のポイントとなる老人の二人の声を演じていたこと(ですよね?)。意図がわからず、まぎらわしく、何とも不思議でした。
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