「おみおくりの作法」:地味で質素でまじめ
映画『おみおくりの作法』の原題“Still Life”とは「静物画」のこと。まあ、字義通りに「静かな人生(生活)」という意味もあるのでしょうし、むしろ「静かな生命」すなわち「亡くなった人」という意味合いを重ねているのでしょう。そして、なんとも「静かな」映画なのでありました。
主人公に扮するエディ・マーサンがかなりヘンな顔。どう見ても脇役顔なんですけど主役です。44歳ってことですけど、今日びの44歳には見えません。ミスター地味、ミスター質素、ミスター真面目なのです。
自らの仕事に対する矜持を持った主人公を描いたザ・プロフェッショナルの映画とも言うことができます。知りたい情報を聞き出すために、ウイスキーを買って来て、階段で飲ませ&飲みながら話をする件りなんか、良いではありませんか。フィッシュ&チップスの店で、ジャガイモの袋を運んであげるあたりもそうですね。そういうのが映画の(豊かな)描写ってもんです。そこはかとないユーモアも、作品を豊かにしますしね。
そして誰もが驚かされ、たいていの人が感動するであろうラスト。あまりの直接話法に驚きましたが、この映画には似つかわしい気もいたします。
イギリス映画というよりは、他のユーロ諸国(北欧とか中部ヨーロッパとか)のテイストを感じるような作品でもありました。
| 固定リンク
コメント