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2015年3月 8日 (日)

「フォックスキャッチャー」:静謐で暗鬱な心理劇

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映画『フォックスキャッチャー』は、実話をもとにした暗鬱な心理劇。静謐で低温な画面の醸し出す不穏な緊張感が、いやーな感じで迫ります。音楽も極端に少なく、映画が静かすぎることに神経がやられそうです。『マネーボール』のと言うよりは、『カポーティ』のベネット・ミラー監督の力量が発揮されています。

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それにしてもあのデュポン社の、デュポン財閥の御曹司がこんな事件を起こしていたとは、驚きです。彼を演じるスティーヴ・カレルの異様さ、何を考えているかわからない、でもコンプレックスが肥大化した危ない精神状態の男。見事な演技でこの「空っぽの男」を表現しています。

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チャニング・テイタムもマーク・ラファロも普段の彼らの枠を超えた芝居を見せていますが、ほんの僅かの出演場面で格の違いを見せるのが、ヴァネッサ・レッドグレイヴ。彼女の心理的支配によって、こんなに歪な男が出来上がってしまったことが説得力を持って迫る芝居。レスリングは“low”(下等)だって言っちゃうあたり、スリリングです。 近年の彼女はもう地球の宝です。シワや白髪が演技してますもん。スクリーンを通して彼女の演技を拝めることが幸福だと思う大江戸なのです。

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寒々として、暗い気分になって、決して好きになれる作品じゃないし、2度観る気にはならないけれど、こういう監督がいてこういう作品が作られているようなら、まだアメリカ映画は大丈夫!と思えたことも確かです。

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