「幕が上がる」:黒木華は凄いけど・・・
映画『幕が上がる』は予告編で百田夏菜子の「5秒前」という台詞を聞いただけで目頭が熱くなってしまったのですが、本編はそんなに感動を押し付ける作品ではありませんでした。決して大傑作ではないけれど、よく出来た「ど真ん中ストレートのアイドル映画」です。
でも実はももクロのアイドル映画という以上に、なんと黒木華の映画だったことにもぶっとびました。華(はる)さん、芝居が柔軟で魅力がバンバン発散されていて、とにかく素晴らしいんです。ほんと現在の若手ではピカイチです。昨年の大江戸の助演女優賞(『小さいおうち』)でしたが、これは2年連続も夢ではありませんです。おそるべし! ちなみに「ももくろ」と打って変換したら「腿黒」と出てきたので、笑えました。
演劇好きの本広克行監督には、舞台劇を映画化した『サマータイムマシン・ブルース』('05)という佳作がありますが、本作で教師役のムロツヨシも出てるんですよねー。そして本作の冒頭、燃やされる古い台本のタイトルが『ウインタータイムマシン・ブルース』ってことにニヤリです。
あと幻想シーンの灰皿の山と灰皿を投げるコワイ演出家(実は部顧問補佐ですが)のあたりのイメージも笑えましたが、今は「演出家=怒って灰皿を投げる」っていう蜷川イズム(?)のことがわかるのかしらん?
本広さんらしく、ウェルメイドにアイドル映画として娯楽映画として及第点を取っているのですが、何ヶ所かもっとぶっこわれた、もっと過剰な部分があったら、作品のパワーが増したのになあと、ちょっと残念。割と「突き抜けられない」人なんですよねえ。物語がまとも過ぎるほどまとも、当たり前すぎるほど当たり前なだけに、小生としてはその枠をぶち壊すサムシングが欲しかったのです。
1カット、(本作の原作者である)平田オリザさんの人形も出ておりました。
| 固定リンク
コメント