「マジック・イン・ムーンライト」:アレンごのみに彩られた小品
映画『マジック・イン・ムーンライト』は、ウディ・アレンがバズ・ラーマン版『華麗なるギャツビー』に刺激を受けて、自分なりの1920年代を描きたかったんじゃないか?ってな作品。もちろん既に『カメレオンマン』や『ミッドナイト・イン・パリ』で’20年代を描いているわけですが(『カイロの紫のバラ』もそれに近い’30年代)、この衣装やらアールデコやらパーティーやらダンスの振り付けやらを見ていると、どうしても『ギャツビー』が頭に浮かぶのです。もちろん「アレンごのみ」の世界でもあります。
そして主人公二人が急な雨に遭い、駆け込む先は天文台。『マンハッタン』の中で、セントラルパークで急な雨に遭ったアレンとダイアン・キートンがプラネタリウムに駆け込むシーンの再現ではありませんか! これって何なんでしょ? アレン本人の昔の体験のアレンジなんでしょうかね。本作ではこの場面にちょっとセクシャルな暗喩も見受けられました。
マニッシュで堂々たるコリン・ファースが演じても、アレン作品の主人公ってどうしてもウディ・アレン風になってしまいますね。妙にシニカルに理屈っぽくて、猜疑心が強くて、一般的なコミュニケーションが苦手なキャラクター。
そしてエマ・ストーン! 『バードマン』といい本作といい、ノッてます。輝いてます。アレン作品のヒロインとして、やけにフィットしています。今後またアレン作品に出る可能性、あるかも知れませんね。
でもアレン翁は前作が傑作『ブルー・ジャスミン』だっただけに、本作は趣味性の高いお遊びってところ。そこそこの出来の小品です。ラストだって、「えー? それでいいの?」って感じに無理を押してのハッピーエンド?です。
でもまあ、それでいいじゃありませんか、皆さん。
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