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2015年5月16日 (土)

「ゼロの未来」:枯れたギリアムが残念

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映画『ゼロの未来』の原題は“The Zero Thorem”=ゼロの定理とか法則とかって意味ですね。久々のテリー・ギリアム作品ですが、うーん、枯れましたねえ。1940年生まれ、今年で75歳ですから無理もないのですが、画面から全盛期のパワーが放たれることはもう無くなっていました。

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序盤の雑然とした街なかの描写は、『ブレード・ランナー』みたいで、おお!と思ったんですよ。広告や小型車なんかも(まあ『12モンキーズ』あたりの感覚と言えないこともありません)。でも、結局そこだけ。その後はいくらレトロ・フューチャーな未来が描かれても、薄味でねえ・・・。昔日のギリアム映画の絵からにじみ出る猥雑なまでのパワーがなくなって、きれいな「上澄み」みたいな感じ。残念です。

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電話やPC画面から指示する真っ赤な唇の映像なんて、『ロッキー・ホラー・ショー』かよ!って感じで悪くないのですが、主人公が数式を解析していくPC内のイメージなどは、3Dゲームかよ!で、なんとも軽すぎます。そこで白い建物が崩れ落ちる絵のあまりの普通さに、『未来世紀ブラジル』の怒涛のイマジネーションとの差を嘆いても詮無いことなのでしょうけれど。やはりギリアムみたいな力技の人には、年取ることって結構致命的なんですね。そもそも21世紀になってからのいい仕事って無いんじゃないでしょうか、この人?

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ああ、ギリアムにはもっとハチャメチャに暴れて欲しかったです。こうなったら、あとはもう例の『ドン・キホーテを殺した男』だけ作らせてあげてくださいよ。それだけでいいです。

『ビッグ・アイズ』であれだけ達者な役者っぷりを見せたクリストフ・ヴァルツも、スキンヘッドにした甲斐無く、著しく精彩を欠いておりました。

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