« 「がむしゃら」:いつか石井隆監督とタッグマッチを! | トップページ | 最近のオシム本2冊 »

2015年5月12日 (火)

「ザ・トライブ」:殺伐として後味悪く・・・

351381_002
映画『ザ・トライブ』は珍しやウクライナ映画。しかも登場人物全てが聾唖者なので(遠景で見える警察署の人々もガラス越しなので声は聞こえません)、全編物音(+多少のうめき声)だけという珍しさ。昨年のキム・ギドク監督『メビウス』も全編台詞無しでしたが、本作は「全編手話」というところが新機軸です。

351381_001

登場人物たちの手話が、極めて激しい動きなのに驚かされます。早口(?)で卑語に満ちているだろうとと想像できる手話。手話で口ゲンカ(?)なんて、新鮮な驚きです。そもそも聾唖者の施設が上から下まで悪人&犯罪者だらけってあたりも、絶望的に新鮮なところです。

351381_006

観ていてだいたいの話は理解できます。ただ、手話に関しては「今、何て言ったのだろう?」と隔靴掻痒なことも事実。ここらがこの映画の欠点ではあります。

しかし長回しの1シーン1カットを多用し、何とも冷え冷えとした臨場感を醸し出す本作の「文体」は、恐ろしくリアルに迫ります。あの堕胎のシーンの恐ろしさ、悲しさ、やるせなさ、不安、絶望などはあまりにも殺伐としていて、かなり気が滅入ります。

351381_004
(以降ネタバレあり) そしてラストの衝撃! なるほどこう来ましたか。救いがなくて、嫌になりますね。ギャスパー・ノエの『アレックス』と並ぶ「頭つぶし映画」の誕生です。 いやー、実に後味の悪い映画です、間違ってもデート・ムービーに選んではいけません。

ところで、あのドアが無くて「床に穴」式の女子トイレって何なんですかね? 昔の中国は都会以外そういう形式だと聞いたことがありましたが、ウクライナもそうなんでしょうか? 謎です。

|

« 「がむしゃら」:いつか石井隆監督とタッグマッチを! | トップページ | 最近のオシム本2冊 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/42098/59974936

この記事へのトラックバック一覧です: 「ザ・トライブ」:殺伐として後味悪く・・・:

» 『ザ・トライブ』 聾唖者というトライブ [映画批評的妄想覚え書き/日々是口実]
 カンヌ国際映画祭で批評家週間グランプリなどに輝いたウクライナ映画。  監督・脚本のミロスラヴ・スラボシュピツキーの初の長編作品。出演者したヤナ・ノヴィコヴァやグリゴリー・フェセンコなどは、すべて本当の聾唖者たち。  ろうあ者の寄宿学校に入学したセルゲイ。  そこでは犯罪や売春などを行う悪の組織=族(トライブ)によるヒエラルキーが形成されており、入学早々彼らの洗礼を受ける。...... [続きを読む]

受信: 2015年5月12日 (火) 22時39分

» ザ・トライブ [象のロケット]
少年セルゲイは、聾唖者(耳が聴こえず、声を出して喋れない人)専門の寄宿学校に入学した。 この学校は、裏では犯罪や売春などを行う悪の組織(族:トライブ)に支配されており、腕っぷしの強さを見せつけたセルゲイも組織の一員となる。 リーダーの愛人で売春をやっている少女アナに恋をしたセルゲイは、彼女に金を貢いで関係を持つが、アナはイタリアで暮らすことを夢見ていた…。 クライム・サスペンス。 字幕なし・手話のみ。 R-18... [続きを読む]

受信: 2015年5月18日 (月) 12時24分

« 「がむしゃら」:いつか石井隆監督とタッグマッチを! | トップページ | 最近のオシム本2冊 »