「新宿スワン」:ヤクザ(風)ファンタジー
映画『新宿スワン』は、園子温最大のヒット作ということになるのでしょうねえ。マンガが原作だけあって、彼のカラーがそんなに色濃く出ているわけではありません。いや、三池崇史が撮ったと言われれば、すんなり信じてしまいそうな、そんな作品に仕上がっておりました。園子温もメジャーな娯楽作をどんどん手掛けていって、三池さんのようになっていくのでしょうか?
閉館前の新宿ミラノ座前や、その屋上や外階段で撮った数々のショットが、いいですねえ。ミラノ座の貴重な映像資料の一つともなりそうです。
金髪というか黄髪の綾野剛も、はっちゃけて19歳を演じてます(33歳なのに)。なかなかに「愛すべきバカ」な感じを出して、きちんと“主役”やってます。トゥーマッチな地点まで行くことによって、ムチャな役と映画を自分の方に引っ張って来ちゃってます。彼のアプローチが奏功したと言えましょう。
ヤクザ&チンピラ役の男優陣が、揃いも揃っていい(コワイ)ツラ構えをしています(厳密にはヤクザじゃないのかも知れないけど、やってることはヤクザですもんねえ)。今、ヤクザ顔を揃えることにかけては、北野武と園子温が双璧ですね(『TOKYO TRIBE』の時にそう思いました)。 まあ層の薄い日本映画なので、そうすると『クローズZERO』や『闇金ウシジマくん』とかぶっちゃうんですけど。 山田、伊勢谷は言うに及ばず、 金子ノブアキはワルそうな顔にどんどん磨きがかかっていますし、深見元基はワイルドな凶暴さを出して、生きましたねえ。
ファンタジーとてのヤクザ映画ではありますが、『アウトレイジ』に次いでこれもヒットするってことは、日本の大衆はいつの時代もヤクザ映画を求めているんだなあと思います。いや、マジで。 これの続編も作られそうな気がしますけど、それよりも本家東映さんがそろそろ「真打登場」的なものを作ってみてはいかがなものなんでしょうか?
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