「天の茶助」:なんで祭りだらけ?
映画『天の茶助』は、SABU監督によるファンタジー。でもファンタジーの割には、バイオレントな描写があったり、人がどんどん死んだりして・・・、そういうのって結構海外の観客は戸惑ったんじゃないでしょうか(本作はベルリン映画祭出品作)。 SABUって人は、もともと生理や感性+現場経験で映画を撮っている人なので、理性、知性の部分は弱いと思っています。それが目立たない作品もあるのですが、今回は弱点になりました。
SABUのトレードマークであるところの「疾走」は、本作でも夜のシャッターが降りた商店街の細い道を激しく走る場面で発揮されています。これは沖縄ロケが生きました。
でもその他の場面では常に商店街を沖縄の祭りが占拠していて・・・、沖縄ってこんなに年がら年中お祭りなんでしょうか? しかも、それが何かの効果を生み出すかというと、海外対策用のエキゾチシズムぐらいしか生まないので、後半になるともうしつこくて邪魔で、勘弁してくれって感じでした。
故郷の青森弁イメージが強い松山ケンイチが土佐弁を話すところは、違和感にちょっと笑えました。 彼が超能力で病気を治し続けることで消耗してゲソッとする場面では、目の下黒くなって、ありゃ「L」ではあーりませんか。
マンガ実写版つながりで言えば、伊勢谷友介が元ボクサーって・・・、力石だったわけですね。道理でケンカ場面でのパンチがシャープです。
一方名前も地味なら顔も地味な大野いとは、やはり最後まで地味でした。主役級でここまで素人っぽい女優さんも珍しいですね(彼女も実写版『愛と誠』に出ていたというつながりも)。
(以降ネタバレあり) クライマックスで大野いとの声が出るようになっても、ただ唐突かつありがちで、感動には結びつかないんですよねー。その後の甘々な展開も、相当に腰砕けな印象でしたし。 うーん、SABU×マツケンの前作『うさぎドロップ』は意外や成功作で大江戸も大好きなのですが、今回はいろんなさじ加減がうまくいかなかったみたいです。
| 固定リンク
コメント