「靴職人と魔法のミシン」:大ボラをリアルに見せる魔法が足りない
映画『靴職人と魔法のミシン』の邦題は、どうなんでしょう? この主人公、 「靴職人」ではなくて、靴の修繕屋。一人でリペア・ショップをやっている男なのです。現代も“The Cobbler”と、靴の修理屋のことですし。気になると言えば気になりました。
主人公アダム・サンドラーがどうにも精彩を欠いているのがよろしくないですね。ワン・アイディアの奇想で突き進む割には、彼ならではの魅力ってものが出ていません。それでは観てる方としては、途中から飽きてしまいます。
スティーヴ・ブシェーミも、エレン・バーキンも、なんか久しぶりに見た気がします。それなりにお年を召してました。ブシェーミのギョロ目もおとなしい目つきになりましたし、バーキンのねじ曲がった唇もあまり目立たなくなりました。 そして、ダスティン・ホフマン! これはおいしい役ですねー。
(以降ネタバレあり) ラストでホフマンが再登場するところには、かなりびっくりしました。ぜんぜん無防備な所で、突然驚かされた感じ。そこは話の工夫として、良く出来ておりました。
でもあとは結構ツッコミ所だらけで、問題の多い脚本だと思いました。母親と父親に化けた主人公の場面も、父親がずっと隠れていた理由も、一級のハリウッド娯楽作としては、あれじゃあダメなんじゃないでしょうか。それに人一人殺しといてあんな処理ってのは、いかがなものかと思います。 まあ、成功作とは言えませんよね。全体に「大ボラをリアルに見せる魔法」が足りないのです。
| 固定リンク
コメント