「悪党に粛清を」:西部劇が大好きな監督なのでしょうね
映画『悪党に粛清を』は、北欧はデンマーク産なれど、立派な西部劇。「この監督、ウエスタンが大好きなんだろうなあ」と思わせる力作に仕上がっています。アラがなく、タイトに引き締まった93分です。
序盤の乗合馬車の場面で、まず身を乗り出させます。悪党どもの悪辣さが効いてますよね。しかもさっさと子供まで×しちゃうあたりも、主人公の絶望と恨みのの深さに正当性を持たせて、終盤の復讐(粛清?)へのお膳立てとして有効です(このあたりは純正のハリウッド西部劇とは違った感覚。むしろマカロニ?)。
まあ復讐の物語を正義の物語のように成り立たせるためには、強烈で非道な悪役が必要。そういった意味からは、本作のラスボス「デラルー大佐」はまさに不足なし。実に憎々しい外道です。 さらには主人公と共闘するエヴァ・グリーンもヤツに恨みを抱えているので、作劇としては万全です。
主人公を演じるマッツ・ミケルセンは大柄で、武骨で、無表情で、口数少なく、感情を押し殺し・・・まあ、まさに西部劇ヒーローなのですね。どうでもいいけど、マッツ・ミケルセンと聞くと、ミッツ・マングローブを連想してしまいます。
床下を使ったガンファイトだとか、屋根の上と下の攻防とか、いかにもな見せ場も盛り込まれていて、(最初から最後まで暗めではありますが)『トゥルー・グリット』あたりと並んで、「21世紀の西部劇史」に残る作品なのだろうと感じました。 それにしても若い映画ファンや女性は観に行く気にならない邦題だよなあとも思いました。
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