「ターナー、光に愛を求めて」:唸るティモシー・スポール
映画『ターナー、光に愛を求めて』は、かのターナーを偉人には祀り上げず、かといってケン・ラッセル調に狂気の人物にするのでもなく、淡々と清濁あわせ持つ人物像を(さして掘り下げずに)描いていきます。でも2時間30分は長過ぎです。30分摘まんだ方が、映画が生きたことでしょう。
映像自体もターナーの絵の光や色調に似せているようではありますが、でも違いますよね。それは映像と絵画の違いでもありますけど、やはりもっと「朦朧体」にしていただかないと・・・。でも何度か出て来るターナーをシルエットにした絵などは、とても素敵でしたけど。
ターナーを演じるのはティモシー・スポール。マイク・リーとの名コンビがまたも、という感じではありますが、実際のターナーは(肖像画などを見る限り)スポールほどには太っていなかったようです。でも、彼の貫録やちょっと奇人な感じは、さすが。老境に至ると、“nn・・・”、“nnn・・・”と唸るような声ばかり出しているあたりの味が、・・・いやー実に名優です。
映画の中に機関車が走るシーンがあります。もちろんターナーはそれを描くわけですが、山下達郎の曲に『ターナーの汽罐車』ってのがありまして、これは達郎さんがターナーの『雨、蒸気、スピード』にインスパイアされた曲。
それはともかく大江戸にとってマイク・リーは、やっぱりセミ・ドキュメンタリー的な視点で現代の家族を描く人というイメージ。残念ながら最後まで違和感を感じる本作なのでありました。
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