「『Dearダニー 君へのうた」:パチーノ75歳の若々しい魅力
映画『Dearダニー 君へのうた』を試写会で観ました。なかなかウェルメイドなドラマでした。最近はVFXだらけの派手なアクションが多くのスクリーンを独占するので、こういう’70年代、’80年代的な正統派ドラマって少なくなりましたから、たまにこういうの観ると、「ああ、こういうのが本来の映画(ドラマ)だよなあ」とホッとします。
久々にお目にかかったアル・パチーノが、いやーいいんです。大物ロック・スターの貫録を漂わせながら、見事に役者の魅力を発散させて・・・これだけ素晴らしいパチーノって、それこそオスカー受賞作の『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』('92)あたりまで遡るんじゃないでしょうか? パチーノ、1940年生まれで、今年75歳なんですって!! (いくらロック・スターの役とは言え)若過ぎます! 腹が出たとはいえ、現役感たっぷりに、かっけーですもん。
メガネのアネット・ベニングもなかなかチャーミングでした。クリストファー・プラマーらも含め、役者の芝居できっちり見せていきます&役者の魅力をしっかり見せていきます。 もちろんその根底にはしっかりした脚本とよく練り込まれたダイアローグがあり、演出も的確です。散りばめられたユーモアの数々に、クスクスにんまりとしてしまいます。こういうハリウッドの職人的映画作りの伝統は、絶やしてはなりませんね。 でも後半ちょっと失速しました。そこは残念。
ジョン・レノンの曲を使いながらも、それがあまり有効に機能しなかった気もします。かなり短い断片で使われた曲も多かったし。 それと物語の重要なキーとなった主人公の新曲は、終盤に一度ステージでちゃんと聴かせてくれないと。ラストにそういうヤマ場が欲しかったです。
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