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2015年8月 5日 (水)

「野火」:戦場の狂気と血しぶき

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映画『野火』は、塚本晋也の(いつも通りの)個人映画にして、戦後70周年の節目にぶつけた力作。(いつも通り)主演も兼ねる塚本が、どろどろメイクや軍帽のせいもあって別人のように見えます。でもこの状況下なんだから、頬とかもう少しこけてほしかったなあ(そうすると、監督や撮影する体力がなくなっちゃうんでしょうか)。

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スプラッターと言ってもいいような直接的描写で戦争の恐ろしさをガンガン叩きつけます。考えてみると、そういうのって邦画でも洋画でも多くはありません(湾岸ものはともかくとして、第2次大戦ものでは)。『プライベート・ライアン』ぐらいでしょうか。イーストウッドの日米連作はそこまでではありませんし。

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デイヴィッド・リンチが感動の名作に見せかけた『エレファントマン』において、実は自らの奇形趣味を追求していた如くに、本作も塚本が反戦映画に見せかけて、自らのテーマである「人体変容」を追い求めていただけかと思ったら、そうではありませんでした。 むしろ人間の精神がギリギリの状態にまで追い詰められた時の、狂気と幻想みたいなものに迫っています。そのため、あえて不明瞭な描写やイリュージョン的な展開もあるのです。狂気こそは塚本作品の核ですから。

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「戦時下の南方のジャングルにおける狂気の地獄めぐりを一人称で描く」って、・・・そう『地獄の黙示録』みたいでもありますね。まあ製作費には天と地の開きがあるのでしょうけれど。でも塚本に大金渡したって、しょうがなさそうですもんね(長所を消してしまいそうで)。

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