「赤い玉、」:古めかしい違和感
映画『赤い玉、』は、奥田瑛二が「いかにも」「らしい」主人公を演じて、まあこの領域に関しては独擅場ですね。あこがれの少女を隠れながら追い回したり、化粧までするなんてのは、ほとんど『ベニスに死す』のアッシェンバッハ先生。ビールの飲み方から何から、堂々たるダメ男の一挙手一投足が「ザ・奥田瑛二ショー」になっておりました。
でも全体的には、古めかしい珍作となっております。近年の高橋伴明監督、申し訳ないけど、ずれてきちゃってます。映画学校での『雨に唄えば』のシーンの気恥ずかしさったら! 少女の描き方とか、少女のヘンテコ淫らなダンスとか、情けない男子学生監督の描き方とか、妄想シーンでのマネキン人形の使い方とか・・・、何か違うんだよなーという気持ちを禁じ得ませんでした。
そもそもこの「夢の美少女」であるべき女子高生が、まあ××××(自主規制)で、いくらきわどいシーンがあるからと言え、どうして今日び この子を選んじゃったの?と思わずにはいられません。この子のみならず、奥田の愛人にしても、学生映画のヒロインにしても、みんな「どうしてなの?」の世界でして・・・。まさか、出演していて製作者でもある高橋惠子さんが「自分より魅力的な女優は使っちゃダメ」と、夫をコントロールしたわけでもないでしょうに。
(以降ややネタバレあり) ラストもなんだかあっけなさ過ぎてねえ。むしろ最後までもっと、ジタバタしてもらいたかったところです。情けなさが美学になるぐらいにまで・・・。
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