「ピース・オブ・ケイク」:主役二人がいきいきと魅力的
映画『ピース・オブ・ケイク』、面白かったなあ。現代日本のリアルなラブストーリーとして、よく描けています。やはり主人公(多部未華子)がいきいきと(ダメな所も含めて)魅力的なので、映画が溌剌としているのです。対する綾野剛も、いつもの彼とは違って天真爛漫な笑顔に愛嬌を漂わせて、こちらもダメな所も含めて魅力的なのです。
レンタルビデオ店の仲間とか、綾野の彼女とか、ゲイの友達とか、劇団主宰者とか、脇の人々もそれなりに効いています。でもやはり圧倒的に主演二人のキャラクターの力です。ラブコメに必要な要素を、きっちりと満たしています。とにかく二人の掛け合いのバランスが良いのです。
そしてちょっと大人な役柄になった多部ちゃんはやっぱり上手な役者ですねえ。恋するときめきや、逡巡や、喜びや、焦りや、嫉妬や、憤怒や、諦念や、切なさや、渇望を、全身で見事に表現していました。終始リアルに、終始輝きながら。 彼女が熱海の宿でケンカした時の台詞「おまえはもうやっている!」には、笑いました。
これまでの田口トモロヲ監督作品って、なんか「悩める男子」もので、私小説的過ぎるきらいがありましたけど、本作では「物語を上手に描く」ことに成功して、一皮むけた感があります。 楽しくて、愛すべき作品に仕上がっています。
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