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2015年10月26日 (月)

「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」:天才≒変人

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映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』には、ちょっと驚かされました。たまたまの偶然で発見、いや「発掘」された偉大な才能。ほとんど「酔狂」と言えそうな好事家の探究がなければ、そのまま歴史の表舞台に出ることなく埋もれ続けていたはずの女性写真家にまつわる物語。非常に興味深い題材です。何が興味深くさせるかと言うと、彼女の作品が真の力を持つ「本物」だからです。

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大江戸は一頃多くの写真を見ましたが、スクリーンで初めて接したヴィヴィアン・マイヤーのモノクロ作品群(人物写真が中心)は、どれも見事にクォリティーが高く、発するインテンシティ(強度)が並大抵ではありません。構図の見事さ。人々の表情の見事さ。被写体の内面にまで迫る透徹した視線の鋭さ。街の表情の捉え方の素晴らしさ。モノクロ写真としての美しさ。まぎれもなく20世紀を代表する写真家の一人となっていたはずなのです、作品が発表されていさえすれば・・・。

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でも作品は一切発表されず封印され続け、彼女の死と共に消失するはずだったのです。あるもの好きな男がその封印を解かなければ。

その男というのが、とりもなおさず本作の監督であるジョン・マルーフ(チャーリー・シスケルと共同監督)なのですが、彼の辛抱強く根気のいる地道な探究の果てに、徐々にヴィヴィアン・マイヤーがどんな人だったのかがわかってくるあたりの面白さが本作のキモです。

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そこで知らされる彼女の人となりは、理解を超えるほどの変人でした。乳母を生業としながら、常にローライ・フレックスの二眼レフ・カメラをぶら下げて写真を撮り続け、人を寄せ付けずにただただ保管していた人。かなりパラノイア気味で、男性恐怖症で、多くのダークサイドをか抱えていた孤独な人。 関わりのある人々にインタビューをすると、時間が経つに従って徐々に彼女の困った性癖やダークサイドの話が出て来るあたりもスリリングです。

観終わって決して晴れやかな気分になる作品ではありません。我々にできることは、人間の不可思議に思いを馳せることだけです。 ともあれ、彼女の作品が今後本格的に評価され、(美術館の保守的権威に負けず)写真史にその名を残すことを願っております。

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