「ヒトラー暗殺、13分の誤算」:淡々とし過ぎて・・・
映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』は、題名からすると『ジャッカルの日』みたいなサスペンスなのかと思いきや、その部分はほとんどプロローグ的な扱い。その後の全編は、回想を織り交ぜながらの淡々としたドラマ。正直、少々退屈しました。
この主人公がどうにもこうにも曖昧な男で、それこそ「何でこんな大それたことやっちゃったの?」ってぐらい普通の小市民なのです。まあ多少「反骨の闘志」っぽいところはありますが、基本的に強固な意志のテロリストなんかじゃなくて、ただの家具職人に見えます。 そんな彼が掴まって、数々の拷問で背後の黒幕を探られる話なんですよね、まあ。でも黒幕なんていないんだから答えようがありません。ってわけで、拷問は続くのです。ああ、いやだ。
これ実話に基づいているんですってね。でもドラマとしては起伏がなく、サスペンスがなく、大事件がなく、クライマックスがなく、どうにもこうにも盛り上がらないのです。ナチスの怖さや卑劣さも(他のナチス映画に比べて)さほど強調して描かれているわけではないし・・・。あえて淡々と描いているのでしょうけれど、どうもそれが映画の強度を削いでいるような気がしてなりません。メッセージの力が放出されて来ないのです。
それにしてもここのところ本作に加えて『顔のないヒトラーたち』、『ミケランジェロ・プロジェクト』、『杉原千畝』とナチスものの公開が続きますねえ。やはり「戦後70年」の影響なのでしょうか?
渋谷のシネマライズで観たのですが、年内で閉館なんですってね。残念無念です。東京の映画館の中でも個性的なことに関しては1,2を争うコヤだっただけに、悔しく悲しい思いです(詳しくはまた別の機会に)。
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