「わたしの名前は・・・」:素敵な色だけど、自主映画みたいで
映画『わたしの名前は・・・』は、アニエス・ベーが本名のアニエス・トゥルブレ名義で初監督した作品。これまでもギャスパー・ノエ、ハーモニー・コリンらの作品をプロデュースし、映画大好きな姿勢を見せていたアニエスですが、満を持しての監督作がどうたったかというと、・・・うーん今一つですね。みずみずしいのはいいけれど、なんか学生の自主映画みたいなテイストで・・・。
坊主頭&ヒゲの大柄な男と少女という取り合わせは、まさに『レオン』。この二人の自然な交流が孤独な魂の結びつきめいて、いいムードなのです(でもまあジャン・レノ&ナタリー・ポートマンには負けますが)。この二人のロード・ムービーとしての味わいが魅力の作品です。
でも時折見せる心象的インサート・カットの積み重ねだとか、(山海塾みたいな)白塗り舞踏の男女とかが、妙にゲージツっぽいというか青臭い学生映画みたいになっていて、しらけちゃうんですよねー。
ラストも「え? どうして??」ってな結末なのです。解釈の幅を持たせたと言えば聞こえはいいものの、「なぜ?」の部分が不明瞭過ぎませんか? まあ自分なりに2つばかりの仮説を考えてみましたが、なんかモヤモヤです。
画面の、色の美しさはやはり特筆すべきものでしょう。澄んだ青空のブルーの中に、絶妙に配置されたオレンジに近い赤がなんとも美しいのです。あの独特の赤は、アニエスベーの服やバッグで見かける色ですもんね。視神経のごちそうみたいな色遣いでした。
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