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2015年11月19日 (木)

「黄金のアデーレ 名画の帰還」:年の差コンビの掛け合いの妙

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映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』を試写会で観ました。また出たナチスがらみの作品ですが、『マリリン 7日間の恋』のサイモン・カーティス監督が職人的にきっちりと上出来の娯楽映画に仕立てています。裁判劇としても脱出劇としてもよく出来ていて、人と人とのドラマ部分がしっかりしているので、作品が揺るがないのです。

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なにしろ作品を支えるのがヘレン・ミレンなので、隙はありません。本当に彼女の一つ一つの表情にいろんなものが滲んで、見事です。対するライアン・レイノルズも、公開中の『白い沈黙』の彼とは随分感じが違いますが、素直で好感の持てる役柄&演技です。 とにかくこの「年の差コンビ」の掛け合いと、近寄ったり離れたりする心の距離が、ドラマを転がして行くのです。 『マリリン 7日間の恋』において、大スターと下っ端助監督という「身分の差」がドラマを転がしたのに共通するものがありますね。

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強大な権力に対抗する個人の物語なので、観てるこちらも判官びいき的に主人公たちを応援してしまいますし、もともとナチスに略奪されたという経緯があるのでなおさらです。 ナチスがらみの回想場面もよく出来ていて、特に若き日の主人公夫妻がアメリカに脱出できるかどうかの逃走劇は、よく描けていました。『ジュリア』('77)に並ぶほどとまでは言いませんが、なかなかのサスペンスでした。

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ただ、よくよく考えると、本当にこれで良かったのかどうか微妙ですよね。幾星霜を過ぎて「恩讐の彼方に」って気もいたします。収奪品と認め、所有権は彼女に移しながらもベルベデーレ美術館に残すという妥協案を取らなかったオーストリア政府の失策でしょう。

宮殿、美術館、『第三の男』の観覧車などウイーンのロケ映像も素敵でした。

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