「ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償」:エシカル消費のきっかけに
映画『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』は、近年ファッションを考える上で避けて通れないキーワードである「エシカル」の教科書的な作品。エシカル(ethical)、つまり倫理的な消費を通して、生産を倫理的な方向にシフトさせて行こうというアティテュードや運動の入門編として、よく扱われている素材(バングラデシュのラナ・プラザの崩落事故とか、インドの皮革製品工場での薬品被害とか・・・)をはじめ、啓蒙的要素がたっぷりです。
そこにあるのはまさに「搾取」の構造。発展途上国の(他に仕事の選択肢を持たない)低賃金労働者たちを、更には経営者たちをも、資本主義の競争原理で締め付けていくファストファッションの姿に、私たちはどう対峙すればいいのでしょうか。一人一人できることは違うかも知れませんが、少なくとも「知ること」が大切なことは確かです。おいしすぎることの裏には闇があるものなのです。
ここ10年、15年でファッション(主にファストファッション)の価格というのは、あきれるほどに下落しました。でもTシャツが1,000円以下だとか、ジーンズが3,000円を割るとかって、その手間や何段階もの流通過程を考えると異常ですよね。無理をすれば、どこかに歪(ひずみ)が出ます。それを負わされ搾取されているのは、常に弱者ですし、一方では当然儲けている人もいるわけです。彼らをハッピーにするために、人間も自然も壊れていくのです。
ドキュメンタリー映画の作りとしては、まあどうってことないレベルなのですが、そのメッセージは明快で力があります。多くの人に観てもらいたい作品です。そしてできる範囲で構わないから、小さくても何らかのエシカルなアクションを起こしてもらいたいと思います。
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