「悪いのは誰だ! 新国立競技場」:なるほどそういうことか!
扶桑社新書の『悪いのは誰だ! 新国立競技場』上杉隆著、いやー、面白かったです。面白いですませちゃいけませんけど、9月30日の緊急出版にしては、しっかり取材してよく書けています。ジャーナリストの上杉さんが自らの活動の集大成と書くのもわかります。
読んでみて、この問題を常に覆っているモヤモヤがだいぶ晴れたような気がしました。この一連のゴタゴタって、いろんな要素が複雑に絡み合いながらも、最終的な原因は「日本という国家の本質」にあるんじゃないかと喝破しています。「日本が意思決定できない国」という猪瀬直樹氏の指摘は、上杉氏も書くように最重要のポイントです。そして縦割り行政の中で、役人が自分のフィールドの利益ばかりを考えて動くから、グランドデザインを描けるリーダーが誰もいないからこうなるのだと思います。そしてここでも日本的な「忖度」の害毒が・・・。
團紀彦、松沢成文、玉木雄一郎、猪瀬直樹、有森裕子、笠浩史、玉木正之、下村博文という8人の証言で構成しているから信憑性がありますし、それ以外にも石原慎太郎、森喜朗らの発言も記されています。
3つの大きな利権という話も「やっぱりねえ」でしたが、それ以上にスリリングだったのは安藤忠雄vs.東大建築学科という構図。なるほど!と膝を打ちました。
いずれにせよ、これらのゴタゴタに翻弄されて大きな被害をこうむった人の一人がザハ・ハディド氏であることは、本書の中でも明らか。まったく申し訳なくも不幸な事実です。
一連のゴタゴタで国際的に失われた日本の信頼は、5年後に失地回復となるのでしょうか。それとも今以上にとんでもないことになっているのでしょうか。何としても前者であって欲しいものです。
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コメント
これは面白そう。
どうしてザハ・ハディドさんが〇でろくでなし子さんが✕なのか、そこいらへんも追及してほしかったですねえ。
投稿: risi@いけばな | 2015年11月 5日 (木) 10時23分
はは。そう来ましたか。
まあ、軽く流しておきます。
投稿: 大江戸時夫 | 2015年11月 5日 (木) 13時50分