「愛を語れば変態ですか」:黒川芽以を見る映画
映画『愛を語れば変態ですか』は、自身劇団主宰者である福原充則さんの初監督作ということで、実に演劇調。もろに演劇調。実際、オープン前のカレー屋という1つの場所だけでほとんど完結するドラマですし(まあ、この映画では終盤町へ、世界へと飛び出して行きますが)、クセのある役者の芝居と台詞とで突っ走って行きます。
その演劇的展開は、確かにカレー屋開店をめぐるドタバタに見えて、どんどんそこから逸脱して行きます。男の数が1人増えるごとに、どんどんとんでもない不条理世界に入って行くのです。野間口徹演じる旦那さん、全ての登場人物に振り回されちゃって、ほんとに思いもよらぬ災難ですよねえ。かわいそうに。
何と言っても、黒川芽以を見る映画には違いありません。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』での役をちょっと思わせる、コケティッシュな魅力。「触れなば落ちん」な感じ。ストーカー君と「目で話す」あたりも笑えましたが、やはり終盤の狂ったはじけ方にぶっとびます。「愛のテロリスト」! カッコイイなあ。ただ彼女のはじけ方ほどには映画がぶっとんで行かないので、どうにも「なんだかなー」なエンディングでした。
彼女が語っていた「確かに愛は今、世界の中で劣勢だ」とかいう彼女の台詞、ここがキモでしたね。だからこそ彼女は愛のテロに走ったのでしょう。うーん、演劇的です。
73分というコンパクトな上映時間は、オッケーです。これ以上無駄に長くても、しょうがありません。ただ、ちょっと物足りないので、「2本立て上映を希望」って感じではありますけど。
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