「完全なるチェックメイト」:天才とナントカは紙一重
映画『完全なるチェックメイト』は、かの有名なチェスの天才ボビー・フィッシャーの物語。思えば『ボビー・フィッシャーを探して』(この作品ではボビー・フィッシャーが登場するのではなく、あくまでも象徴的に扱われています)を観たのも本作と同じ日比谷のシャンテシネ(現・TOHOシネマズ シャンテ)だったことを思い出します。
大江戸は子供の頃はチェス好きだったのですが、その後全然やっていないので、今では駒の動かし方を知っている程度です。でも、この映画も当然ながら、チェスを全く知らなくても楽しめるように作られています。ってゆーか、チェスを知っていたら物足りないくらい、どういう手で戦っているのかがわかりません、見えません。
それにしても(奇人とは聞いていましたが)ボビー・フィッシャーがここまで精神異常と言っていい人(または「とんでもないキチ○イ」)だとは知りませんでした。神経をすり減らして戦っていることはわかりますが、周囲への迷惑のかけ方がハンパないっす。また、トビー・マグワイアって、こういう役大好きだから、狂気ムンムンで演じちゃってますよね。
ボビーがかなり困ったちゃんなので、ライバルのスパスキー(ソ連)が、とても紳士でいい奴に見えますね。その彼も対局を重ねるうちに、ちょっとおかしくなっちゃうんですが・・・。演じるリーヴ・シュレイバーはこれまで大味な肉体派だと思っていたのですが、ここでは奥の深さと天才的頭脳を感じさせる緻密な芝居を見せておりまして、いやー、認識を改めてしまいました。演技賞ものです。
クライマックスで描かれる、第6局において敗れた対戦相手が拍手してしまうぐらい凄い手ってのは、いったいどういうのだったんだろうと興味津々になりますが、まあ映画でそれを丁寧に描くわけにもいかないでしょうから、こういう感じの処理しかないのでしょう。そこが難しいところですね。 同様に、映画全体もまあまあ面白いけれど、ちょっと隔靴掻痒ってところなのです。
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