「ピンクとグレー」:確かに開始62分の衝撃が鮮やか
映画『ピンクとグレー』、いやー面白かった。「開始62分の衝撃」という広告コピーが伊達ではありませんでした。きっちり「おお!」と驚かせていただきました。語り口が鮮やかでした。こういう叙述のトリックって、昨年の『イニシエーション・ラブ』もそうですけど、やけに批判的な人が多いように思いますけど、大江戸はもっと評価すべきと思っています。小説などで色々と試みられている世界なのかも知れませんが、娯楽映画としては非常に効果的な大技ですよね。それを成立させるために、緻密にパズルを組み立てていくような脚本が必要ですし、「ポーカーフェイス」を守り通さなきゃいけない演出と演技も合わさって大きなどんでん返しを創り上げる作業。その大きな虚構づくりってのは、むしろ映画というものの本質をデフォルメした魔法なんじゃないでしょうかねえ。
でもそれを抜きにしても、スタンダードな(クサイほどの)青春映画としての部分も素晴らしいし、カラーとモノクロ映像の対比(ピンクとグレー)も面白いし、役者たちの前後半の変容も目を見張るものがあるし、東京の街のロケもなかなか良い絵が撮れてるし・・・小生は好きです、この映画。でもダンサーのお姉さんの件りは、どうにもしっくりと来ませんでした。腑に落ちませんでした。
ごひいきの夏帆ちゃんもいろんな意味で素晴らしいのですが、やはり菅田将暉くんの振れ幅がスゴイです! 演技賞ものです。中島裕翔はスターになった姿がオーラたっぷりで、細カッコ良かったです。 あと『友だちのパパが好き』でも普通さが良かった岸井ゆきのが、本作でも地味かわいい好演です。いいですねえ、地味かわいい子。
何を書いてもまだるっこしい表現ですみませんが、この映画に関しては超ネタバレ厳禁だと思いますので、ご容赦を。
ラストはやけにティピカルな青春映画って感じなのでありました。
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