「ストレイト・アウタ・コンプトン」:現代の“音楽家伝記映画”
映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』は、’80年代(~90年代)のギャングスタ・ラップ創成期の物語。カリフォルニアのラップグループN.W.A.の伝記物語なのですが、普通に上出来な劇映画として成立しています。
『ジョルスン物語』とか『グレン・ミラー物語』の昔から近年の『ジャージー・ボーイズ』『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』まで、音楽家の伝記ものというのは、ずっと作られ続けて来たテーマです。そして成功を手にしたアーティストが、心を病んだり、グループなら仲違いから崩壊したりして、失意に転じることが多いのも昔ながら。本作でも、結局はそういう流れです。
『ラブ&マーシー』と言えば、同作で悪徳マネージャーを憎々しく演じていたポール・ジアマッティが、本作でもN.W.A.のマネージャーを演じていたのにびっくり。どっちもカリフォルニアだし。 あの作品の怪演も凄かったけど、本作で演じた複雑なキャラクターのリアリティもお見事。作品を1ランク高めてくれる役者です。 そして彼と拮抗するN.W.A.メンバーをはじめとするアフリカ系俳優たちのド迫力もスゲーです。
とにかく音楽やライブ・シーンが、ラップの迫力が圧倒的。そういった意味では映画史においても記念碑的な作品でしょう。本作の中でも言及されている『ボーイズ’ン・ザ・フッド』を過去に葬り去るぐらいのインパクトを持った作品なのでありました。
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