「白鯨との闘い」:海はこわいな大きいな

映画『白鯨との闘い』は、予告や広告を見る限りではハーマン・メルヴィル原作『白鯨(モビー・ディック)』の今日的リメイクなのかと思っていたら、そうではありませんでした。いや、途中まではそんな感じだったのですが(メルヴィルも出て来て、取材をするわけですし)、中盤以降映画は別の方向にカーブしていくのです。

(以降ネタバレあり) それでも白鯨らしき大クジラが暴れまくる場面はあるし、そこらでのVFXは実にまったくもって見事なのですが、エイハブ船長が片足を食いちぎられるようなことは起こらないのであります。そもそもエイハブなんて出てこないし。終盤にもう一度白鯨との死闘のクライマックスがあるのだろうと思っていたら、そんなことはナシ。これには肩すかしを食らいました。まあ、だんだんと「ああ、そういう映画じゃないのね」ってわかっていくのですけど。

漂流から人肉食に至る部分はまるで有名な絵画『メデューズ号の筏』のようです。まああれはフランスの話ですけど。そして日本の『ひかりごけ』も連想させますよね。してみると、有史以来、世界中の数々の海難事故で同じことが繰り返されていたのでしょう。うーん、海はこわいな大きいな。本作にしても『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』にしても『オープン・ウォーター』にしても、まさに「海はこわいな大きいな」って話なのであります。

ただ作品的にはテーマが分散したような、フォーカスし切れなかったような感じで、何かしっくりいきませんでした。まあ小生の想像とのギャップがあったってことだけかも知れませんが・・・。
それにしても鯨油を採る作業がここまでリアルに、臭いさえ漂いそうに描かれた作品ってのもなかったのでは? いやマシュー・バーニー&ビョークの『拘束のドローイング9』がありましたね。あれも相当ヘンな映画だったなあ。
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「白鯨との闘い」:海はこわいな大きいな:
» 劇場鑑賞「白鯨との闘い」 [日々“是”精進! ver.F]
人間の極限…
詳細レビューはφ(.. )
http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201601160000/
【楽天ブックスならいつでも送料無料】白鯨との闘い [ ナサニエル・フィルブリック ]価格:842円(税込、送料込)
【楽天ブックスならいつでも送料無料】白鯨(上)改版 [ ハーマン・メルヴィル ]価格:7...... [続きを読む]
受信: 2016年1月17日 (日) 06時25分
» 映画:白鯨との闘い In the Heart of the Sea 富を求め危険な旅に出る男たち [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
時代は19世紀。
くじらから取れる「鯨油」がダイアモンド級に貴重な時代。
その富を得るべく、無謀な船旅に出る荒くれ者達が多くいた。
主人公(=クリス・ヘムズワーズ)の乗る、“エセックス号も、そんな一隻。
米 ナンタケット港を新米船長と共に出港し、鯨を捜...... [続きを読む]
受信: 2016年1月17日 (日) 07時59分
» 白鯨との闘い [映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜]
評価:★★★★☆【4.5点】(11)
過去映画『白鯨』(1956)の単なる焼き直しだろうと舐めていたら
[続きを読む]
受信: 2016年1月17日 (日) 11時02分
» 白鯨との闘い3D ★★★★.5 [パピとママ映画のblog]
ハーマン・メルヴィルの「白鯨」の裏側に迫るナサニエル・フィルブリックのノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描く驚異のサバイバルドラマ。19世紀を舞台に、白い大型のマッコウクジラと捕鯨船の乗組員たちとの壮絶なバトルを描く。主人公を...... [続きを読む]
受信: 2016年1月17日 (日) 18時11分
» 白鯨との闘い [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。原題:In the Heart of the Sea。ナサニエル・フィルブリック原作、ロン・ハワード監督。クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー、キリアン・マーフィ、ベン・ウィシ ... [続きを読む]
受信: 2016年1月17日 (日) 18時46分
» 白鯨との闘い [★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★]
【IN THE HEART OF THE SEA】 2016/01/16公開 アメリカ 122分監督:ロン・ハワード出演:クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー、キリアン・マーフィ、トム・ホランド、ベン・ウィショー、ブレンダン・グリーソン
伝説の白鯨との死闘。生き延びる為に、男たち...... [続きを読む]
受信: 2016年1月17日 (日) 22時40分
» 白鯨との闘い [とりあえず、コメントです]
ナンタケット島に詳しい歴史研究家ナサニエル・フィルブリックのノンフィクションを原作に 捕鯨船の乗組員の運命描いた迫真のドラマです。 予告編を観て、この時代の捕鯨船は本当に大変だったろうなあと気になっていました。 予想以上に厳しい展開に、生きることや船の乗組員の精神とは何かを考えさせられる作品でした。 ... [続きを読む]
受信: 2016年1月18日 (月) 00時30分
» 白鯨との闘い 監督/ロン・ハワード [西京極 紫の館]
【出演】
クリス・ヘムズワース
ベンジャミン・ウォーカー
キリアン・マーフィー
トム・ホランド
【ストーリー】
1819年、エセックス号のクルーたちは鯨油を入手するためにアメリカ・マサチューセッツ州のナンタケット島を出港する。一等航海士オーウェン・チ...... [続きを読む]
受信: 2016年1月18日 (月) 21時49分
» 海へ~『白鯨との闘い』 [真紅のthinkingdays]
IN THE HEART OF THE SEA
1850年。小説家ハーマン・メルヴィル(ベン・ウィショー)は、かつて商業
捕鯨の中心地だったニューイングランド州ナンタケット島を訪れる。30年前
に伝説の白鯨との闘いに破れ、海に沈んだエセックス号の最後の生き残り、
トム・ニカーソン(ブレンダン・グリーソン)に会うために。メルヴィルは彼から、
遭難の...... [続きを読む]
受信: 2016年2月 5日 (金) 12時38分
» [映画][☆☆☆★★][2016年の映画]「白鯨との闘い」感想 [流浪の狂人ブログ〜旅路より〜]
ナサニエル・フィルブリック著「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」原作。ハーマン・メルヴィルの海洋小説「白鯨」のモデルとなった捕鯨船沈没事故を、「ラッシュ/プライドと友情」のロン・ハワード監督、「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワース主演で映画化。 「... [続きを読む]
受信: 2016年2月 7日 (日) 10時36分
» 「白鯨との闘い」 [ここなつ映画レビュー]
小説「白鯨」は、生き残りの船乗りに小説家ハーマン・メルビルがその壮絶な体験を取材し、それを基に書かれた。という設定で、1800年代初頭に起こった捕鯨船での出来事を描いたスペクタクル。だが、鑑賞する前は、巨大クジラと船乗りの闘いがメインなのだとばかり思っていたが(いや当然それはメインなのだが)、しかし実際には、巨大クジラに船を破壊されて大海原に放り出された船乗り達の、壮絶なサバイバル・ストーリーであった。そして個人的にはその方が圧倒的に好みである。何故語り手二カーソンはこれまでその体験に口をつぐんでい... [続きを読む]
受信: 2016年2月12日 (金) 19時34分
コメント