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2016年1月25日 (月)

「ブリッジ・オブ・スパイ」:古き良き米映画の伝統

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映画『ブリッジ・オブ・スパイ』は、ヒューマニスト・スピルバーグらしい信念と正義の物語。コーエン兄弟の脚本ですが、結局浮き彫りにされるのはスピルバーグがフランク・キャプラの正統後継者だってこと(今更ですが)。ああ、ラストの家族の使い方なんて、本当に古き良きアメリカ映画の伝統じゃないですか。トム・ハンクスがジミー・スチュアートじゃないですか。

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2時間22分の作品なのに1時間50分ぐらいに感じました。それだけテンポが良く話にムダが無いということで、ここらもオールド・ハリウッド流。また、常にキャメラが動いているような絵づくりはスピルバーグ印。今回もヤヌス・カミンスキーの撮影が見事です(いつもながら印象的な逆光とか)。

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真面目で静的な話なのに、大いなるエンタテインメントに仕立て上げてくれるのも、スピルバーグならでは。唯一開放感のあるアクション・シーンと言える米偵察機エマージェンシーからの緊急脱出シーンで、開いた落下傘の頂点の丸い穴から、落下中のパイロット目線で上空の偵察機が爆発するろころが見えている画(え)なんて、・・・天才です! スピルバーグが映画の神様に祝福されていることを、このショットが示して余りあります。

ベルリンの壁を石材とセメントで実際に作っている画なんてのも、小生は本作で初めて目にしました。うーん、面白い。そして、その画づくりのセンス。

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でも本作で全てを、とは言いませんが、多くをかっさらってしまうのはソ連のスパイ、アベルを演じたマーク・ライランス! これまでは小さな映画が多く大江戸は知らない役者でしたが、いやー、淡々とポーカーフェイスでいい味出してます。これだけ地味な役で抑えた芝居なのに、ここまで(ある種の魅力を伴って)この人物の酸いも甘いも表現できてしまうというのは、只事ではありません。観ている間に観客は、この風采の上がらないおじさんを好きになってしまうのです。 多くの映画賞で助演男優賞を獲得し、オスカーにもノミネートされているってのも、さもありなんです。

ラストの「大いなる眠り」、いいですねえ。スピルバーグですねえ。ハンクスの眠りっぷりと、奥さんの表情。シンプルに、オールド・ハリウッド的に、感動できるのです。

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