渋谷シネマライズをふりかえる
渋谷のシネマライズ、残念至極なことに今年の1月7日限りで閉館してしまいましたね。
1986年の開館以来30年の命だったわけです。もっとも最後までライズとして営業していた2階のシアターは開館当時には渋谷ピカデリーという名前でした。もともとのライズは地下の劇場でしたし、最盛期にはスペイン坂側のライズXと合わせて3つのシアターがあったものです。
北川原温の設計によるポストモダン&コンクリート打ちっぱなしな建物は、確か建築の大きな賞を受賞したんでしたよね。
場内はスクリーン左右のカーテンを模した金属製の構造物が強い存在感を放っていましたし、2層構造になっていて、大江戸は2階の客席が好きでしたねえ(客の入りが悪い時は1階席しか開けていませんでしたけど)。
売店も開館当初には類例のなかった、バーみたいなかっこいい作り。
そしてライズと言えば・・・の名物が、コンクリート壁面に舞台挨拶で来場した内外の監督さんたちが書いたサイン(と落書き)。
ちょっと見ただけで、岩井俊二、是枝裕和、犬童一心、吉田大八、矢崎仁司、篠原有司男、松尾スズキ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、SABU、ジョン・キャメロン・ミッチェル、ハーモニー・コリン、ファティ・アキン、エドガー・ライトらが書いてますね。この壁だけでも近代美術館フィルムセンターに移設すべきだって感じです。
そしてシネマライズと言えば「こまねこ」。本編開始前のマナー告知を、こんなに楽しく愛らしくやってくれた劇場はここだけでした。「にゃにゃっ」とか「にゃーにゃー」とかしか言えない「こまねこ」は、長編コマ撮りアニメにもなって、ライズXで公開されたりもしました。
閉館してからしばらくして1月後半に前を通ったら、こんな感じになっていました。
ラスト・ショーの『黄金のアデーレ 名画の帰還』には行かなかった(試写会で観たので)ため、小生が最後にここで観たのは、昨年11月の『ヒトラー暗殺、13分の誤算』でした。
1980-90年代のおしゃれなミニシアターを代表する個性の強い(未来的軍服みたいな従業員ユニフォームもありました)劇場だっただけに、本当に残念でたまりません。サヨナラだけが人生だ・・・ですね。
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コメント
シネマライズではヴィム・ヴェンダース監督のドキュメンタリー映画(ブエナビスタ・ソシアルクラブ)を立ち見で勧賞したり…と大画面でとても良い雰囲気なので残念です!都内から続続と名画座も消えた事をフイルムセンター展示の写真展・映画館を見て思い浮かべました。モノクロ写真なので遠い昔みたいな印象でしたが。都内でも、ロードショー館は新設されたりその盛衰は有りますが、老舗が消え行くのは寂しい限りです…。
投稿: PineWood | 2016年6月25日 (土) 06時15分
PineWoodさん、そうなんですよ!
シネコン以外の個性あふれる映画館もきっちり併存できることが、文化ってもんだと思うのですけどね。
皆さんも、できるだけシネコン以外にも足を運んで応援してくださいね。
投稿: 大江戸時夫 | 2016年6月25日 (土) 22時57分