「ザ・ブリザード」:寒さの恐怖が描かれていなくて
映画『ザ・ブリザード』は、1952年2月にアメリカで起きた海難事故の映画化。原題は“The Fineset Hours”、つまり「最上の時」ってことですけど、なんかピンと来ませんね。
開巻しばらくは、主人公とそのガールフレンドをめぐる恋のあれこれ。まあ、ちょっとかったるいシーンです。でもそれが終わると、いきなり物語は佳境に突入しちゃいます。あっけないほどすぐに、船が真っ二つに折れてしまうのです。『ポセイドン・アドベンチャー』や『タイタニック」』のように、その時が来るまで結構長い尺が必要だと刷り込まれている身としては、その潔さに驚きました。
(以降ネタバレあり) そこからのストーリーも実にシンプル。助けを待って、助けが来て、救出成功。ただそれだけです。悪役の陰謀や妨害なんかもありません。こんなんでいいの?と、ちょっと思ってしまいました。 あと広告コピーなどで「救命艇の定員12名、救出すべき生存者32名」とかあおっておいて、「さあ、いったいどうするのか?!」と思ったら、「ただ詰め込んで乗せました」って解決なのにはズッコケました。なんだよ、それ!そりゃあ史実はそうだったんでしょうけれど・・・。
それにしても残念なのは、寒さがきちんと描かれていないこと。2月の海ですよ。落ちたら心臓麻痺起こしかねないし、波や雨に濡れたら(特に天然素材中心の昔の衣服だし)ずっしり重くなって、びしょびしょになって、更には凍って、体温を奪われて低体温症で死んじゃいそうです。大江戸は寒いのが苦手なのですが、本作では寒さの怖さがほとんど描かれていませんでした。半袖の奴とかいるし(冬場のアメリカ人観光客のTシャツ姿かよ!)。やはり『八甲田山』ぐらいには、寒さを描いてくれないと(観るの辛いけど)。
ヒロインのミリアム役のホリデ-・グレンジャーが珍しいほど十人並で、下ぶくれで、春川ますみのようでした。迷惑な行動にも出るし。10年もすれば、押しも押されもしない堂々たる太っちょのおっかさんになっているに違いありません。もっとはかなげな女優さんだったら、もっとハラハラして、作品に好感が持てたろうになあと思ってしまった大江戸なのでした(エンドタイトルに出た実際のこの人の写真を見ると、まあそういう顔なんですね。別に似せなくてもいいのに)。
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コメント
「押しも押されもしない堂々たる太っちょのおっかさんになっているに違いありません。」
たしかにそんな感じでした。
実物はもっとかわいいのをわざとブス撮りしているのかな?と思いました(笑)
投稿: まっつぁんこ | 2016年2月29日 (月) 07時50分
まっつぁんこさん、コメントどうも。
わざとブス撮り・・・うーん、そうですね。もしかしたら特殊メイクかCGIかも知れませんね。なんでもありですね。
投稿: 大江戸時夫 | 2016年2月29日 (月) 22時04分