村上隆の五百羅漢図展
六本木ヒルズの森美術館で、開催終盤に差し掛かった『村上隆の五百羅漢図展』(~3/6)を観ました。
日本国内で開かれる村上展としては14年ぶりにして、もしかしたら最後かもと噂されている(ま、そんなことはにでしょうけど)大型展。
会場入り口にはいきなり村上さんの精巧なロボットが立ってます。自ら羅漢の姿になり、しかも顔が裂けて中からも村上さんが出て来てるやつ。皮膚の質感から目玉の動きから、すんっごくリアル!
円相や達磨など仏教的なモチーフを究めようとしているようで、それが『五百羅漢図』へとつながっていくわけです。
まあ、もともと村上さんは東京芸大で日本画の博士号を取った方ですから、「いつかは還る場所」として用意されていた世界なのかも知れません。
数々の大型絵画は、これまで以上に混沌を極め、カラフルでクレイジーな村上ポップワールドに凄味を加えています。
そしていよいよの『五百羅漢図』。2011年の東日本大震災及び原発事故が契機となって、村上さんはこの創作に向かったとのこと。
全長100mという(たぶん)世界一の長さ。4つの世界に分けて展示してあります。つまり約25mずつの壁面。
確かに壮観です。パノラマです。宗教画です。でも完成度や、深み、真のパワーと言うことに関しては、どうでしょう? 最上級とはいかないように思えました。
今までの村上さんとはだいぶ違ったタッチで、しかしやはりスーパー・フラット&ポップな表現で、今の日本の絵画を極めようとはしているのですけどね。
堂々と「火の鳥」まで入っているあたりも、やっぱり村上さんらしいなあ。
でも小生としては、(作品自体よりもむしろ)制作にあたっての各種資料や指示書、進行スケジュールなどの類が展示されているコーナーに極めて感銘を受けました。いや、いろいろと面白いです。
このプロジェクトは、これまで以上に村上さんの「工房」的作品制作を大がかりに徹底させた、集大成的なものだそうで、全国から志願した美大生たちがコンピュータを使っての作画から、パネル運びの力仕事まで多くの作業を分担して、完成に至ったものです。
指示と違ったものが上がって来たり、スタッフの技術が未熟だったことに対して、村上さんがキレて指示を書いているものなんかもあって、いやー、興味は尽きませんね。
制作風景の写真を映像展示してあるものも、飽きずに見てしまいました。
これ、今を生きる日本人にとって「必見」の展覧会だと思います。何だかんだ言って、こんな展示なかなかできないので、観ておくべきです!
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