「ロブスター」:自由過ぎる不条理

映画『ロブスター』は、怪作『籠の中の乙女』のギリシャ人監督(ヨルゴス・ランティモス)による新作。今度も相当ヘンです。いや、最上級にヘンです。ヘンなもの好きの大江戸にとっても気になるところでしたが、うーん、ヘンだけどメチャクチャ過ぎると言うか、押さえるところ押さえてないというか、面白味は薄いですねえ。

前半はいいんですよ。「ザ・奇想SF」ってところで。ぶっ飛んだ不条理な設定で、「いいぞ、もっとやれ。」って感じ。まあその各種設定をきっちり説明してはくれないので、観る方としては「たぶんこういうことなんだろう」と想像しながら進んでいくしかないのです。ただ「?」マークが頭の中に残ることもあり、なんだかもどかしいのです。

そして中盤以降は「自由」すぎて、もうナンダカワカラナイ状態に突入していきます。ほとんど不条理な夢にも似た展開。観ていて置いてけぼりになっては、周回遅れで追っかけた感じです。 ラストはなぜか『春琴抄』的な世界だし。 結局、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』『えびボクサー』に並ぶ「エビ映画」とならなかったのが、かえすがえすも残念です。

意外に充実したキャストなのでびっくりしたのですが、前情報なしで観たのでコリン・ファレルに最後まで気づきませんでした。なんか(ブラッド・ピット+そこらのおっさん)÷2 かと思っていたら、いやーコリンさん、あの「濃い」テイストを完全に消し去っていましたね。だらしなくデブってたし。オーラ=ゼロだし。
新宿シネマカリテで観たのですが、シネカリ名物の水槽には当然のごとくロブスター・・・かと思いきや、伊勢海老が入っていたのでありました! 上映期間が終わったら、スタッフがゆでて食べちゃうのかなあ・・・。ちょっと気になります。
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THE LOBSTER
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