「アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー」:“style”の魅力
映画『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』は、あのスーパー・ファッションアイコンばーちゃんのドキュメンタリー。ホントに94歳?ってぐらいお元気で、矍鑠(かくしゃく)としています。そして、ド派手な格好をしても品があるんですよね。そして道を究めた人の「強さ(intensity)」が感じられます。
彼女のトレードマークといえば、大きな大きなまん丸メガネ。やはり一目見て彼女とわかる目印を持っている人は、強いですよね。百貨店や美術館が白いマネキンにあのメガネをつけるだけで、アイリスってことになっちゃいますもん。で、あのメガネって黒だけじゃないんですよ。映画を見てると、白とかべっ甲とかサングラスとか「つる」の部分がカジュアルデザインのものとか、いろいろあるんです。
彼女と夫のカールの長年連れ添ったおしどり夫婦っぷりがいいんですよねー。互いを尊重しながら、ゆったりとさりげなく仲がいい感じ。
アイリスはよく“style”という言葉を使っています。“fashion”ではなくて“style”。そこには確固たる「自分」というものがあるのですね。哲学があると言ってもいいでしょう。そこが人間として素敵な所です。実際、この作品の中で彼女が話す言葉は、ひとつひとつとても魅力的なのです。
本作の監督(アルバート・メイズルス)って、篇中にも登場して、アイリスにいじられたりしているのですが、なんとストーンズの『ギミー・シェルター』なんかの監督なんですってね。びっくり。昨年の3月に88歳で亡くなったのだそうです。「老老介護」ならぬ「老老撮影」だったわけね。
| 固定リンク
コメント