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2016年4月 3日 (日)

「蜜のあわれ」:鈴木清順版が観たかった

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映画『蜜のあわれ』は、鈴木清順が映画化を望んで頓挫した作品だということで、なるほどこの石井岳龍監督作品もかなり清順タッチ。昭和30年前後が一番近いイメージみたいですが、特にいつと限定しない時代背景は、清順作品の大正ロマンともかぶってます。唐突でコミカルなミュージカル風場面ってのも、清順映画にありますしね。

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赤の使い方も清順風と言いたいところですが、この赤は金魚の赤なので、オレンジに近いんですよねー。その分、鮮烈さが足りないのが残念。本作はフィルム撮影ってことなんですけど、今一つヌケが良くないんです。撮影はベテランであり、名手の域に達している笠松則通さんなんですけどねー。

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二階堂ふみの奔放な小悪魔ぶり、エロスと子供っぽさの融合が、金魚の化身である赤井赤子にぴったり。大杉漣さんはそれに拮抗できていたかというと、ちょっと物足りないなあ。これまた清順がらみで言えば、原田芳雄だったらなあってところ。あるいは、松田優作が今生きていたら(66歳!)、ぜひやらせたい役でした。 あと高良健吾の芥川龍之介が、妙に似ていてちょっと笑えました(竹中直人に習ったのか?)。

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二階堂ふみの赤(オレンジ)に対して、真っ白な真木よう子の幽霊。大概の場面では普通の着物の前合わせ(右前)になっているのですが、左前の場面もありました。ま、幽霊だからいいんですけど、初見ではその法則性がわからなかったなあ・・・。

うーん、若い子に振り回された初老の作家のすったもんだに終わっちゃっていて、もっとタナトスが匂い立たないとダメなんじゃないでしょうかねえ。不気味なほど。やっぱり鈴木清順版が観たかったと言っては、身もフタモありませんが、でもそう感じたのでありました。

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コメント

着物の左前のシーンを発見、検索してこちらにたどり着きました。
よく見ると、大杉さんも左前で、小道具も色々逆に。
映像が反転しているようです。
おそらく追いかけっこのシーンで、常に右から左へ追いかけていく、という画を作りたかったのではないでしょうか。

投稿: ひら | 2017年6月23日 (金) 11時26分

ひらさん、コメントありがとうございます。
なるほど、そういうことかも知れませんね。と言いつつ、もう具体的な絵はほとんど忘れてしまったのですが…。

投稿: 大江戸時夫 | 2017年6月23日 (金) 13時25分

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