「グランドフィナーレ」:狙った映像に力がなくて・・・
映画『グランドフィナーレ』は、映像が素敵。ただ、監督がいろいろと狙っていることはわかるのですが、映画の映像としては不足。「目に気持ちの良い映像」以上のものにはなり得ていないのです。フェリーニを狙いながら、届いてないんですよねー。映像のコクやパワーが全然違うんですよねー。
思えばパオロ・ソレンティーノ監督の前作『グレート・ビューティー 追憶のローマ』も、フェリーニ狙い(何しろローマですし)でありながら、妙に整った小ぎれいな映像が、むしろフェリーニとの差を明白にしていました。大江戸は、こういう「絵造り命」の監督って結構好きなんですけど、ソレンティーノに関してはどうもねえ・・・。なんかミュージック・ヴィデオ風というか(実際、本作中にもMVを模した場面がありました)、映像が関西で言うところの「ええかっこしい」なんですよね。
でも水にまつわる夢の映像とか、緑の斜面に過去作品の女優たちが勢揃いシーンの映像とか、それなりに楽しめるんですけどね(でも突き抜け切らないんです)。
年寄りたちで“YOUTH”を描こうとしているのだから、もっと「エロスとタナトス」に振り切っていただきたかったなあ。でもきっと「振り切らない」監督なんでしょうね。
マラドーナを思わせるデブ男には、なんか笑えました。マラドーナ本人は、さすがに一番太ってる時でもあそこまでは行きませんでしたけど(あれじゃあ相撲取りです)。 それよりもジェーン・フォンダにびっくり。エンド・タイトルを見て、「あっ、そうかー!」と愕然としました。女の人はなかなかしんどいですね。 それに較べると、マイケル・ケインやハーヴェイ・カイテルはカッコイイですもんね。
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