「10 クローバーフィールド・レーン」:ヒロインが恩知らずじゃね?
映画『10 クローバーフィールド・レーン』は、なかなかの異色作。小生は『クローバーフィールド HAKAISHA』が大好きなので、こちらにも期待しておりました。前作がPOV(point of view)ショットにより、「見えない」「何だかわからない」で押し通した作品だったのに対し、こちらは正攻法の映画作りです。でも「見えない」「何だかわからない」ってことに関しては同じ。そこで、サスペンスを盛り上げ、ミステリーを作り出しているところは、かなり巧みな脚本と演出です。
(以降少々ネタバレあり) なのにですねえ、予告編で随分と重要なものを見せちゃってますよねえ。がっかりです。あれを見せちゃいかんでしょう。ポスターにも出てるし。それがなければ、結末はもっとわからないので、もっと楽しめたのにと思うのです。何しろどんな映画なのか、途中では観てる人にも全くわからないという、かなりトリッキーな展開なのです。そういった意味では、年明けごろにやっていたティーザー予告編は(見せないことにおいて)よく出来ておりましたよね。
演出的にもコミカルな要素を入れたりしてますし、そもそもジョン・グッドマンの起用自体が、コミカルでもあり恐ろしくもありという玉虫色を見事に体現しております。物語がどう転がるかわからないってことにおいてスリリングで、いやー、面白いです。 だからこそ、終盤はちょっと普通過ぎて残念。ここでもっとぶっ飛んだことやらかしてくれたら、傑作になったのに・・・。
だいたいヒロインのミシェルさんが、どう見ても恩知らず過ぎて、被害者意識が強すぎて、閉口します。なんで、これほどまでに「逃げる」ことに執着しているのかと思うほど、終始ジョン・グッドマンを騙して逃げようとします(単にデブ嫌いなのか?)。観てて、「ほんとにわからん女だなー」とイライラするほどです。まあ、アメリカでは少年も少女も「自由に向かって脱出すること、冒険することこそが美徳」みたいな教育を刷り込まれて育つので、こうなっちゃうんでしょうかねえ。グッドマンさんは、その名の通りけっこう良い人なのに(まあ悪い人でもあるのですが、この状況下ですからねえ)。終盤の、彼女からグッドマンさんへの行動、さすがにあれはないんじゃないのってぐらい残忍でクレイジーだと思います。困ったもんです。
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