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2016年6月11日 (土)

「64 ロクヨン 後編」:健闘の後編

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前編を観てから心待ちにしていた映画『64 ロクヨン 後編』を、さっそく公開初日に観ました。最近の前・後編分割作品が、ほとんど後編で失速していることを考えれば、大いに健闘しています。面白いと思いますし、前編同様その熱量に圧倒される場面も多々あります。でも、あの前編を受けて、発展させて、見事に締めくくる作業が100%できたかというと、ちょっと足りないんじゃないかなあ。いい線まで言ってるだけに、残念です。特に「原作とラストを変えた」とか聞くと、(原作は未読ですが)そうしない方が良かったんじゃないの?などと思えてしまうのです。

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そうなると、やっぱり長くても1本の映画にした方が良かったんじゃないの?との思いも頭をもたげて来て、どうにもスッキリしないのであります。2009年の『沈まぬ太陽』は3時間22分あっても、途中休憩入りの1本で上映してくれたものでしたけどねえ(あの作品も、「組織内で辛い立場に立たされた男の、苦闘の物語でした)。

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役者陣では、佐藤浩市が前半ほどには目立たなく、ますますもって群像劇の様相を呈しておりますが、三浦友和が良かったですね。あの押し出しというか、企業の役員みたいな貫録って、今の日本映画界においては貴重です。滝藤賢一もほんの2-3年の間に、日本映画界に欠かすことのできないポジションを獲得しましたね。  でも小生が一番印象に残ったのは、(後編は回想場面と写真でしか登場しませんが)、永瀬正敏の亡妻役の小橋めぐみさんの美しさと佇まいなんですけど。

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なんだかんだ言いましたが、この時代に本作のような堂々たる大人向けの骨太シリアス・エンタテインメントを作った方々には、敬意を表したいと思います。パチパチ。 願わくはヒットして、同様の企画を考えている人を勇気づけ、後押しする力となりますように。

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