「世界から猫が消えたなら」:なんとマーケティング的な
映画『世界から猫が消えたなら』は、うーん、ピュアな外見なのですけれど、観てみたらまさにマーケティングの産物みたいな作品でした。まあメジャーな娯楽作品ですから、それが悪いってことは全然ありませんけど、・・・でも、あまりにもクリシェの積み重ねで、薄くてコクがないんですよねー。原作は川村元気プロデューサー自身の書いたベストセラー小説。岡田惠和脚本だってのに、こうなっちゃうという悲しさ。
(以降ネタバレあり) 脳腫瘍・・・もう、これを使って泣かせる映画作るのってやめましょうよ。法律で取り締まってほしいくらいの禁じ手です。まあ、そこにもう一技からませてはいるのですが、結局は死病映画ですもんねえ。しかも、母親の死病までからませているんですから。さらに、死神のような、メフィストのようなドッペルゲンガーを出すってのも、さんざん使われてきた手ですし・・・。
そもそも悪魔との取り引きで何かを世界から消していくことによって、その記憶や存在が無かったことになってしまうなんて、それを繰り返して虚しい世界で行き永らえてもしょうがないことぐらい、最初の段階で気づきそうなものなのに。大江戸だったら、「映画」の段階でもうギブアップですね。世界から映画が消えたなら・・・いや、それはあり得ません。このエピソードを通じて、「映画なんて無くても困らないけど、でもそんな世界ってどうなのよ?」って訴えかけているあたりは嫌いじゃありませんけどね。
佐藤健のたたずまいは、(じれったいところも含めて)ちゃんと本作の主役にふさわしいものであり、「悪魔」との二役も含めて、過不足のない演技です。 『バンクーバーの朝日』以来映画はちょっと久々の宮﨑あおいは、やっぱり良いですねえ。『あさが来た』のはつも良かったけれど、こちらも現在の等身大のあおいちゃんで、地味に素敵です。彼女、30歳になったんですねえ(しみじみ)。
それにしても、『ファイト・クラブ』と『花とアリス』の2本立てって、どういう映画館ですか!?
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