「ふきげんな過去」:オフビートな北品川映画
映画『ふきげんな過去』は、あの珍作にして快作の『ジ、エクストリーム、スキヤキ』で映画監督デビューした前田司郎の新作。このタイトルって、パッと見『ふざけんな過去』って読めますよね(漢字の「不機嫌」を使っていないので)。まあ、観てみると「ふざけんな過去」な映画でもありました。そして、二階堂ふみ扮する「カコ」(公式サイトを見ると「果子」という漢字なのですが、映画を観ただけではわかりません)は、終始不機嫌な仏頂面をしています。ふきげんなカコ。
対する小泉今日子もかなり不機嫌な顔をし続けておりますが、こちらはカコ(過去)に対して未来子(ミキコ)。ただし、この漢字も映画を観ただけではわからないので、作者(脚本も前田さん)としては、そこをわかってもらおうとは思っていないんでしょうね。自分にわかればいい記号としての言葉遊び。
それにしても二階堂ふみって、ある種の天才で、今回も異常にうまいなあ。不機嫌な顔に2度だけ生気がみなぎる、その表情の絶妙さ!
作品はオフビートで素っ頓狂な笑いを積み重ねていきます。でも『~スキヤキ』ほどの面白さはなかったですねえ。もちろんつまらなくはないし、愛すべきヘンさを持ってはいるのですが・・・。主役級の人物が生きてるのか死んでるのかよくわからない(わざと曖昧にしてある)ってのも『~スキヤキ』同様。 そしてラストのワニは、いかにも演劇っぽい不条理テイストで悪くないのですけどね。
北品川映画でもあります。あの、旧宿場街の風情と退屈なほどの静けさとが、作品のトーンを決定づけているのです。昭和な作りの家屋や店舗も、役者同様にいい味出しておりました。
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