「エクス・マキナ」:スタイリッシュなクラシック誕生
映画『エクス・マキナ』は、スタイリッシュな本格SF。静謐でひんやりしていて、映像からセットや美術から照明から音楽から、全てが同じトーン&マナーで統一されていて、観ていてクォリティの高さが気持ち良いのです。
この腹やら腕やらスケスケのAIのデザインもいいですよね。それでいて顔はしっかり生かしているので、アリシア・ヴィキャンデルを使った甲斐があるってもんです。
それにしてもこの天才IT長者さんの家(ってゆーか土地)が凄すぎます。ヘリコプターに乗って、「どこが家?」と尋ねたら、「2時間前から家の敷地内」って、いくらアメリカでもさすがに無理じゃね? まあ、でもこの裏庭?にある滝が素晴らしい! 美しい! 滝ファンの大江戸としては、かなり魅了されました。
屋敷の壁にジャクソン・ポロックの絵がかかっているというのも、さすがです。100億(円)とか200億とかするのでしょう。天文学的な金持ちです。偶然の産物みたいなドリッピング技法のペインティングなのに、実は絵具をたらす位置や動きを入念に考え抜いて調整しているポロック。最高度の技術で、もっとも「自然」なヒト型AIを生み出すこの社長がポロックを好む理由って、わかるような気がします。
アンドロイドやAIを扱った数々の作品の中でも、“スタンダード”として残っていく作品でしょう。『メトロポリス』や『ブレード・ランナー』や『A.I.』や『チャッピー』みたいに・・・。 ただ、後半はちょっと演出がゆったりし過ぎた(もたついた)感がありました。ラストも「まあ、こんなもんか」って感じで、名作にまでは至りませんでした。
(以降ネタバレあり) 古典的な「マッド・サイエンティストもの」の系譜でもあるのですよね。フランケンシュタイン博士は常に、自らの生んだ怪物に滅ぼされる運命なのであります。
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