« 「怪獣酒場」に行きました! | トップページ | 「ファインディング・ドリー」:小生は『ニモ』の方が好き »

2016年7月25日 (月)

「シング・ストリート 未来へのうた」:ボーイズ&バンド映画の新たな古典

356506_006
映画『シング・ストリート 未来へのうた』は、ボーイズ・ムーヴィー、バンド・ムーヴィーのクラシックとして、今後末永く愛されていきそうな作品。『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督作品でして(『はじまりのうた』の次なので、『うた』がひらがななのね)、本当にこの人の作品はポジティヴな音楽愛に満ち満ちておりますね。気持ちいいです。

356506_001
アイルランドのティーンエイジャーたちの多様に奇天烈なキャラクターが良いですね。そんな奴らがバンドで演奏する場面は、ビジュアルのファニーさと音楽のカッコよさがアンバランスで、なかなかです。そんなものを見せてくれるのも、この映画のお値打ち。小生は’80年代の音楽はあまり好みではないのですが、その影響下のこいつらは愛すべきポンコツ軍団です。

356506_002
中でも寡黙なギタリストの少年がいいですね。才覚と技量があって、落ち着いてて、いい味出してます。『七人の侍』の宮口精二みたいなもんで、こういうキャラクターは大江戸の好みです。 あと、主人公の兄貴役のジャック・レイナーがこれまた絶妙なキャラクター。彼がいるおかげで、本作に深みと広がりが出ています。

主人公が憧れるラフィナは、いくらなんでもオトナ過ぎて違和感たっぷり。目の周りなんかシワがあって、ちょっとムリムリな感じがしてなりませんでした。

356506_004
そんなこともあって、『はじまりのうた』のように「大好き!!」とまでは至らなかった本作。 でもやっぱり演奏シーンには、「音楽って素晴らしい!」という喜びや若さの輝きが溢れているのでした。

(以降ややネタバレあり) ラストも今後「名ラスト・シーン」として残っていくものでしょう。大きな船が効いてます。あれが、これから彼と彼女が対峙していく「世の中」ってものなんでしょう。でも大丈夫。二人は笑顔で手を振ってますし、その後の雨に濡れながらもものともしない主人公の表情が、彼らの前途を保証しているように見えるのです。

|

« 「怪獣酒場」に行きました! | トップページ | 「ファインディング・ドリー」:小生は『ニモ』の方が好き »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「シング・ストリート 未来へのうた」:ボーイズ&バンド映画の新たな古典:

» シング・ストリート 未来へのうた [象のロケット]
1985年、大不況を迎えたアイルランドの首都ダブリン。 14歳の少年コナーは、父親が失業したため私立校から公立のシング・ストリート高校に転校させられる。 ヤバそうな生徒や校長にまで目をつけられ落ち込むコナーの前に、突如“女神”が現れた! 自称モデルの年上女性ラフィーナに一目惚れしたコナーは、「僕のバンドのPVに出ない?」と口走る。 慌てて“僕のバンド”を結成し、猛特訓&曲作りの日々が始まった…。 音楽青春ドラマ。... [続きを読む]

受信: 2016年7月26日 (火) 09時21分

» シング・ストリート 未来への歌 [映画的・絵画的・音楽的]
 『シング・ストリート 未来への歌』を渋谷のシネクイントで見ました。 (1)8月7日に閉館となる映画館の最後の公開作品だというので、行ってきました。  本作(注1)の冒頭では、隣の部屋で両親が、「毎日ガミガミ言いやがって」「酒と愚痴ばかり」「出て行け」などと夫...... [続きを読む]

受信: 2016年7月26日 (火) 17時41分

» シング・ストリート 未来へのうた・・・・・評価額1750円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
ストレイト・アウタ・ダブリン。 なんと瑞々しい作品だろう! 大不況にあえぐ1985年のダブリンを舞台に、一目ぼれした年上の彼女にアピールするべく、仲間たちとバンドを結成する少年の恋と成長を描く、パワフルな青春音楽映画だ。 ダブリン出身で「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」と、音楽をモチーフにした快作を連発するジョン・カーニー監督にとって、これは半自伝的な作品。 幾つも...... [続きを読む]

受信: 2016年7月26日 (火) 23時49分

» 映画:シング・ストリート 未来へのうた SING STREET カーニー3部作が完成、新ジャンル誕生=バンドファンタジー !(笑) [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
カーニー3部作が完成。 第1作 = ONCE ダブリンの街角で 第2作 = はじまりのうた 特に はじまりのうた はツボにハマり、去年の極私的ベスト10の第5位に食い込んだ。 映画:はじまりのうた Begin Again  音楽ネタ満載 + フル・NYロケ でたっぷり楽しめる1...... [続きを読む]

受信: 2016年7月27日 (水) 02時52分

» シング・ストリート 未来へのうた [とりあえず、コメントです]
1980年代のイングランドを舞台に、音楽に夢をかける15歳の少年の姿を描いた青春ドラマです。 『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』の監督さんの自叙伝的作品と聞いたので どんな物語なのだろうと気になっていました。 辛い状況も歌への気持ちを胸に、大好きな兄や仲間たちと乗り切ろうとする主人公が眩しく見える作品でした。 ... [続きを読む]

受信: 2016年7月29日 (金) 00時01分

» シング・ストリート 未来へのうた [映画好きパパの鑑賞日記]
 「ONCE ダブリンの街角で」などい、切ない青春音楽映画というジャンルを切り開いたジョン・カーニー監督の新作。80年代のアイルランドを舞台に、どうしようもない現実に翻弄されながらも、音楽と恋に必死な高校生の心境を救い上げた佳作です。  作品情報 2015年…... [続きを読む]

受信: 2016年7月31日 (日) 06時52分

« 「怪獣酒場」に行きました! | トップページ | 「ファインディング・ドリー」:小生は『ニモ』の方が好き »