「日本で一番悪い奴ら」:東映マークが良く似合う
映画『日本で一番悪い奴ら』は、実録犯罪エンタテインメントとして、東映の三角マークが実によく似合います(まあ製作委員会方式でジャンゴフィルムルムの制作ってことですが、東映と日活の共同配給です)。こういうメジャー作品って、ほんと久しぶりではないでしょうか。オープニングのメインタイトルで、中央の警察マークに銃弾がぶちこまれるあたりのヤバさも実に東映映画的です。
北海道警の不祥事の実話が元になっているそうですが、まあ実にまったくもってあきれ果てる話です。ただそこには、組織が陥りやすい落とし穴、人間がはまりやすい罠といった普遍的な真実もあり、役者たちの奮闘もあって、実に面白く最後まで見せ切ります。
ヤクザ、暴力、エロ、金、麻薬、笑い・・・と、この手の映画に必要なものを網羅し、それが70年代東映映画の勢いそのままに、つまり現代風に自主規制されていないあたりが、いやー良いではありませんか。こういう作品を待っていたオジサンたちは、結構いるんじゃないでしょうか。小生はシネコンではなく、渋谷TOEIで観ましたが、この映画は古いうらぶれた映画館こそが似合います。できるだけシネコン以外の劇場でご覧になることをお勧めします。
全篇出ずっぱりの綾野剛は、(やせっぽちなので)柔道チャンピオンには見えないけれど、主役にふさわしい気合の入りよう。叫びながら、眉間にシワ寄せながら、ヨダレ垂らしながら、ハダカでからみながら、大奮闘しております。 他の役者さんたちも頑張ってますが、道警の岸谷(メガネの小男)を演じた「みのすけ」さんが、その官僚的な嫌ったらしさ、小人物の香りにおいて秀逸でした。それとTKOの木下隆行さんが、大きな体躯を生かした凶暴なヤクザっぷりで、迫力十分の好演。 そして言うまでもなく、中村獅童さんはいつも通り、いやいつも以上の成り切りヤクザ感なのでした。
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