「ヤング・アダルト・ニューヨーク」:30度ズレたウディ・アレン?
映画『ヤング・アダルト・ニューヨーク』は、ノア・バームバック監督が『イカとクジラ』『フランシス・ハ』に続いて、現代ニューヨークの息吹と悩みを少々シニカルに描いた作品。ベン・スティラー、ナオミ・ワッツ、アダム・ドライヴァー、アマンダ・サイフリッドというアダルトとヤング二組のカップルを描いておりますが、監督としては当然自分の世代であるベン&ナオミ夫妻の方に、暖かい視線を寄せています。
これまで以上にウディ・アレン的なテイストを織り交ぜておりますが、アレンからはやはり30度ぐらいズレてます。主演のベン・スティラーと俳優ウディ・アレンの資質の違いということもあって、よりハードな印象を受けます。ただ彼以外のキャストに関しては、そのままアレン映画の中に入っていても、違和感ないと思います。アマンダ・サイフリッドなんて、最近アレンがお気に入りのエマ・ストーンと入れ替え可能な感じですもん。
本作って、ジェネレーション・ギャップや世代間の抗争を描いたみたいに言われてますけど、本当にそうなんでしょうかねえ。単に、AさんとBさんと・・・といった「個」の差の問題なのではないでしょうか?
(以降ややネタバレあり) 何はともあれ、ラストのベン&ナオミ夫妻の和解がなかなか良い味わいです。それがある種の諦念やほろ苦さを含んでいることが、効いているのです。
劇中曲としてポール・マッカートニー&ウイングスの『1985年』が使われています。1973年のアルバム『Band on the Run』に入っていて、「(12年後の)1985年にはもう誰も生き残っちゃいないよ」ってな曲。劇中の若いカップルは'85年生まれぐらいの設定なのでしょうか? 実際にアマンダ・サイフリッドは’85年生まれです。 同じくポールの『幸せのノック』(Let'em In)もエンドタイトルに使われていて、映画冒頭の言葉や本作の内容との符合を示しておりました。
| 固定リンク
コメント